星々の輝きを君に

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 いったい、ラクスはどのような根回しをしたのだろうか。イザークとディアッカも、何故かアメノミハシラへととどまることになった。
「……キラが一緒だからかまわないが……」
 何か怖いものを感じると、イザークは呟く。
「そうだな。それにおじさん達も明日、ここに来るそうだし」
 ひょっとして、それが目的か? とディアッカが言った。
「お前をお二人に紹介するのが」
 だとしたら、それは自分の役目なのか。それともキラか? と彼は腕組みをしながら呟く。
「何故、カナードさんとムウさんの名前が出てこない?」
 そう言った意味では彼らの方が適任ではないのか。言外にそう問いかければ、ディアッカは何故かため息をつく。
「どんな説明をされてもいいというなら止めないが」
 苦笑とともに彼はそう言った。
「……どういう意味だ?」
「あることないこと、言いそうだってことだよ」
 カナードはともかく、ムウは……と彼は続ける。
「まぁ、それに関してはキラと相談してからでもいいだろう」
 建前かもしれないが、自分達は地球軍がうかつな行動をとらないように監視するのが任務だ。そのためにここにいるのだろう……とイザークは言う。
「まぁ、隊長の気遣いか?」
 キラと彼女たちのご両親に対する、とディアッカはため息とともに告げる。
「要するに、お前にはまな板の上の鯉になれってことだ」
 いじられても文句は言うなよ? と告げる彼にイザークは苦笑を浮かべた。
「それは覚悟している」
 終戦を迎えたから今後どうなるかはわからない。だが、現状ではナチュラルであるキラの両親がプラントに来るのは難しいだろう。
 もちろん、キラがオーブに行くことは可能だ。連絡も望めば好きなときにとれるようになるだろう。それでも、とイザークは続ける。
「俺があいつを奪っていくことは事実だろう?」
 いくらプラントに彼女の伯母であるディアッカの母がいても、だ。
「父上にも言われているからな。キラの父君から一発殴られるぐらいは覚悟しておけと」
 エザリアと結婚するとき、婿入りだったにもかかわらずしっかりと殴られたらしい。
「……様式美、と言うものらしいからな」
 それは、とディアッカが笑う。
「親父の時は、本当にすごかったらしいぞ」
 もっとも、かなり誇張されていると思うが……と彼は続けた。
「たぶん、それは本当だぞ」
 その瞬間、背後からこんなセリフが投げつけられる。
「……頼むから、気配を消して近づかないでください」
 ため息とともにディアッカがそう言った相手はムウだ。
「お前らが鈍いだけだろう?」
 まだまだだな、と彼はさらに追い打ちをかけてくれる。
「……それで、何のご用でしょうか」
 さすがはラウの兄と言うべきか。そう思いながらイザークは問いかけた。
「あぁ。キラが呼んでいる。一緒にお茶を、だそうだ」
 かまわないだろう? と彼は問いかけてくる。
「お前らの仕事なんて、あるようでないんだから」
「それは否定しないけど……そこまで堂々と言わなくてもいいじゃん」
 ムウの言葉に、ディアッカはそう反論をした。
「でも、事実だろう?」
 ラウもそう言っていたし、とムウはとどめを刺してくれる。
「隊長……」
 やめてくれ、とディアッカは頭を抱えた。
「好意だ、と受け取っておこう」
 そう考えないと後が怖い。
 イザークはそう言うと笑ってみせる。
「今のセリフは内緒にしておいてやるな」
 言葉とともにムウが二人の方に腕を回す。そのまま半ば引きずるようにして移動を開始した。


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