星々の輝きを君に
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「そう言うことですから、お二人の婚約は、今しばらく伏せておいた方がいいかもしれませんわ」
ため息とともにラクスがそう言う。
「本当は、キラのためにも早めに公表した方がいいと思うのですが……アスランが何をしでかしてくれるか、わかりませんもの」
あと少しであきらめるか、それとも逆ギレするかがわかるのではないか。その後で改めて対象を考えた方がいいのではないか。彼女はそう言う。
「……そうすると、キラとこいつは人目を忍ばなければいけないのか?」
そんなの、認められるか! とカガリは言外に告げる。
「本国では、と申し上げておきます」
にっこりと微笑みながらラクスが言い返してきた。
「オーブ国内ではご自由にしていただいてかまいませんわ。アスランの耳に入れなければいいのですもの」
少なくとも式を挙げるまでは、と彼女は言い切る。
「その後でしたら、いくらアスランでもどうしようもありませんわ」
自分もさせるつもりはない。そのあたりのことはしっかりとたたき込む……と彼女は満面の笑みとともに告げる。
「そう、何だ」
さすがのカガリもその笑みにはこう言い返すしかできない。
「えぇ。任せておいてください」
ですから、と彼女は視線を移動させる。その先には苦笑を浮かべているイザークとディアッカの姿が確認出た。
「ですから、その間にキラ様のご両親と仲良くなってくださいませ」
ラウ達に認められているとは言え、やはりご両親との関係を無視することはできないのではないか。
「それに、わたくし達と違って、お二人の関係は急ぐ必要はありませんでしょう?」
政治的な意味でも、と彼女は付け加えた。
「ラクス?」
「戦後処理の方が優先だ、と言うことですわ。お二人の結婚式に関しては」
自分とアスランの方は早々にしてしまわなければいけないが。だが、それは十四歳の頃からわかっていたことだ、と彼女は言う。
「婚姻統制がある以上、仕方のないことですもの」
覚悟はしていた、と言われても、すぐにはうなずけない。
「そういうもんだよ。お前だって自分が恋愛結婚できるとは思ってないだろう?」
違うのか? とディアッカが問いかけてくる。
「それはわかっている」
アスハである以上は仕方がない。それが自分の義務だ。
「俺はまぁ、次男だし……多少はわがままが許されるけどな。他の連中はそうじゃないんだよ」
イザークとキラのような例の方が珍しいのだ。そう彼は続ける。
「まぁ、俺としてはキラが幸せならそれでいいんだけどな」
「それは私も同じだ!」
キラだけは本当に好きになった相手と結婚してほしい。カガリは即座にそう言う。
「だから、こいつなんだけどな」
キラと会ったあの日から、どれだけ好きかを聞かされていたか。少しだけうんざりとした表情でディアッカが告げる。
「ディアッカ! 貴様は余計なことを言うな」
かすかに頬を赤らめながらイザークが彼を怒鳴りつけた。
「いいだろ。それだけお前がキラを好きだってことなんだから」
そんな彼の行動になれているのか。ガキの頃から一途だよな、と平然と言い返している。
「そのくらい当然だ」
キラのことを優先してくれない相手なんて、絶対に認められない。カガリはそう言いきった。
「ついでに、馬鹿からあいつを守れないような人間は却下だな」
どのみち、と彼女は笑う。
「キラがあちらにいる以上、ラウ兄さんは残るだろうしな。条件によってはカナード兄さんも行くだろう」
馬鹿なことをすれば、即座に二人がキラを連れ帰ってくるに決まっている。
「そうなると、やはり問題はアスランですわね」
カガリの言葉にラクスはため息をつく。
「本当に、どうしてやりましょう」
かわいらしく首をかしげながら彼女が付け加えた言葉に恐怖を感じたのは自分だけではないと思いたい。
「とりあえず、お前ら。オーブに来られるようにしろ」
許可は出してやる、とそれから意識をそらすように告げる。
「……とりあえず、母上には提案をしておいたが、認められるかどうか」
「エザリアさんなら大丈夫じゃね?」
それを受けて、二人がこんなセリフを口にした。
「大丈夫ですわ。わたくしも協力させていただきますもの」
こう言ってラクスが微笑む。
「キラには幸せになっていただきたいですし」
この言葉にカガリがしっかりとうなずいて見せた。