星々の輝きを君に

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 地球軍の様子を確認していたギナの眉根がよった。
「ギナ様?」
 どうかしたのか、とソウキスの一人が問いかけてくる。
「……やっかいなのが来ている」
 と言うよりも、あれがここまで足を運ぶとは思わなかった。
「あの子がいるから、か」
 可能性と言えばそれしか考えられない。
「まぁ、よい。出てきたのであれば好都合」
 小さな笑いとともにそう呟く。
「すべてを終わらせてやろう」
 自分たちの未来のために、と彼は続ける。
「一応、あれらにも知らせておけ」
 どうするかはラウ達が判断するだろう。自分がすべきことは、連中に渡ったと思われるオーブの技術を少しでも消し去ることだ。
「……データーの方は、後でキラにでも頼めばよかろう」
 彼女の器量であれば確実に消去してくれるはず。もっとも、その後でラウ達の嫌みを聞かされることにはなるだろう。
「そのときは姉上にでも責任を押しつけておくか」
 ウズミでもいいかもしれないが、と口の中だけで付け加える。
「ゴールドの整備は?」
「完了しております」
 ソウキスが即座にそう言い返してきた。
「そうか」
 ならば、と彼は表情を一変させる。
「のろしをあげるとするか」
 終幕の、と口にすると身にまとっていたマントを一息に外した。

「……カナードさん?」
 いつの間に、とイザークが口にする。
「この程度、どうと言うことはない」
 ラウとバルトフェルドが識別コードを与えてくれているからな。後は追いつけばいいだけだ、と彼は笑った。
「と言うことで兄さんは?」
 話がある、と言わなくてもイザークにはわかったらしい。
「こちらです」
 こう言うときびすを返す。そのまま彼は歩き出した。カナードも黙ってその後をついて行く。
 キラ達が乗り込んでいるレセップスよりは小型だから、だろうか。目的地はすぐだった。
「隊長、失礼します」
 イザークがドアの前でそう声をかけたのは、中に誰かいないかを確認するためだろう。自分の存在を説明しなければいけない相手がいればやっかいなことになる。その判断は正しいのではないか。
『入りたまえ』
 即座にラウの声が返ってくる。
 イザークがさりげなく視線を投げかけてきた。それにうなずいてみせると彼はドアを開ける。
「失礼します」
 そのまま中へと足を踏み入れる。その肩越しに中の様子が確認できた。どうやら、今は誰もいないらしい。

「カナードさんがいらしています」
 遠慮する必要はないとわかったからか。イザークはストレートにそう言った。
「わかった。案内、ご苦労」
 その言葉に彼がうなずく。
「では、自分は失礼します」
 まるでカナードと入れ替わるように彼はその場を後にする。余計な質問をしてこないのは、自分の分をわきまえているからかもしれない。
「予想以上にあたりだな、あれは」
 ぼそっとそう呟けば、ラウが微笑を浮かべる。
「でなければ、婚約などと言うと思うかね? いくらあの子を守るためだったとしても」
 妥協をするだけならばディアッカがいただろう? と彼は続ける。
「そうですね」
 彼女をプラントに避難させるだけならば、確かにそれでもよかった。しかし、ディアッカはキラにしてみれば恋愛対象ではない。それを考えると微妙な相手だと言える。だから、あえて選択肢から外していたと言っていい。
「それよりも、何があった? わざわざお前が来たと言うことは厄介事なのか?」
 そんなことを考えていた彼の耳にラウの問いかけが届く。それに彼は表情を引き締めた。


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最遊釈厄伝