星々の輝きを君に

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 さて、とムウは心の中で呟く。このお子様達はなんと言って来るだろうか。
「……知らないよりは、知っていた方がよいことでしょうか」
 そう考えていれば、イザークが静かな声でこう聞き返してくる。
「でも、キラにばれちゃだめなんだよな?」
 ディアッカが確認してきた。
「そういう事だ。だから今までカガリにも教えてこなかったことがある」
 ウズミから多少は聞かされていたはずだ、と続けられて、彼女は小さくうなずいてみせる。
「私とキラが双子だ、と言うことなら、キラも知っている」
 それは十五になったときにカリダから聞かされている、と彼女は続けた。
「私の母はもちろん、キラの母も別の方だ、と言うことも、だ」
 だが、それ以上は聞いていない。カガリは静かな声音でそう告げる。
「まぁ、お前たちに教えるには妥当なところだろうな」
 ムウはそう言ってうなずく。
「しかし、ここにはイザークの坊主もいるから、そこから始めるか」
 彼はそう言うといすに座り直した。

「キラ様のお母様は本当のお母様ではありませんの?」
 ラウの言葉にラクスが聞き返してくる。
「カリダさんはキラの叔母になります。三姉妹の末ですね」
 すぐ上の姉がディアッカの母だ。そして、と彼は言葉を返す。
「一番上の姉が、キラとカガリの母親だよ。そして、私たちの養母でもあった方だ」
 だから、自分たちはきょうだいなのだ……と彼は続ける。
「まぁ、それは些末な問題だね」
 一番の問題は、と彼はアスランをにらみつけた。
「あの二人の本当のご両親が誰なのか、だよ」
 その方の存在故に、キラは隠されなければいけなかったのだ。
「カガリはナチュラルだったから、表に出ても誰も何もできない。しかし、あの子はコーディネイターだ。その存在を『疎ましい』と考えているものは同胞にもいる」
 この言葉に、二人は信じられないという表情を作る。
「だけならばいいな」
 カナードが口を挟んできた。
「一部の連中は、あいつを実験材料にしようとしていた」
 キラをさらった連中もその中の一員だ、と彼は吐き捨てる。
「そいつらが、キラが昼寝をしているから、と義母カリダさんが少し離れた間にあの子はさらわれた」
 自分もカリダの手伝いについて行ってしまった。もし、あのとき、一緒にいたら……と悔しげに彼は続けた。
 それが彼がキラに過保護になる理由なのだろう。それを言うなら、そばにいられなかった自分たちはどうすればいいのか。
「そして、私たちが助け出すまで、あの子は実験という名の虐待を受けていたのだよ」
 そのときのデーターはきっちりと破棄したが、とラウは言う。
「どうせなら、俺を狙ってくれればいいものを」
「……あの頃から君はそれなりの実力があったからね。連中にしても危ない橋を渡りたくなかったのだろう」
 幼い子供の方がいろいろと扱いやすいと思ったのだろう、と付け加えた。
「……キラ様の本当のお母様のお名前をお聞きしても、かまいませんか?」
 ラクスが問いかけてくる。
「それはかまいません。別に秘密にしているわけではありませんから」
 積極的に広めてはいないが、とラウはうなずきながら告げた。

「……ユーレン・ヒビキとヴィア・ヒビキ?」
 ムウの口から出た言葉に、イザークは目を丸くする。
「それはあのヒビキ夫妻のことでいいのですね?」
 だが、すぐにそう問いかけてきた。
「そうだ。だから、そいつは狙われる」
 あの二人が研究してきた内容がないようだから、とムウは言い返す。
「それでもお前は、キラを守りきれるか?」
 さらにこう問いかけた。
「愚問です」
 きっぱりとイザークはそう言いきる。その表情は、間違いなく一人前の男だった。

 キラの存在を一番疎ましく思っているのはパトリックだ。その息子であるアスランがキラを手に入れようとすればどのような行動をとるかわからない。
「それでも、お前はキラをあきらめきれないのか?」
 ラウのこの問いかけに、アスランはすぐに言葉を返せなかった。
 そして、それが彼らは自分を認めない理由なのだろう。
 しかし、どうしてもキラをあきらめきれない。そう考えている自分がいることも否定できないアスランだった。


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最遊釈厄伝