星々の輝きを君に
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「……地球軍が上陸したか」
しかも、予想以上に早い……とギナは顔をしかめる。
「ギナさま?」
どうするか、とソウキスの一人が問いかけてきた。
「あちらに教えてやれ。もっともすでに知っているかもしれないがな」
それでも、情報の裏付けにはなるだろう。
「それと、あちらに残っているものに、カガリとキラから、絶対に離れるな……と伝えろ。もう一人はどうなってもいいが、あの二人だけ死守しろとも、だ」
もっとも、ムウ達がいる以上、大丈夫だと信じている。
何があろうとも、あの男が自分よりも先にあの二人を死なせるはずがない。
カガリだって、ギナの目から見ればまだまだ未熟かもしれないが、それでもそれなりの実欲は身につけている。
問題があるとすれば、キラの中に眠っている爆弾だけではないか。
「幸い、あそこにはカナードとラウもいる。私が戻るまであの二人を守りきれるだろう」
ディアッカとイザークも当てにできるだろうし、と彼は続ける。それは、あくまでも自分を納得させるためのものだ。
「まぁ、よい。私が早々に用事を片付ければいいだけのこと」
そう言いながら、彼は歩き出す。
「さて……いつ来るかな」
彼らは、と呟く。すでにミナが依頼を出しているはずだ。そして、彼がそれを違えることはない。
心の中でそう呟けば、それに答えるかのように人影が姿を見せる。
「時間通りだな」
そう言って、彼は小さな笑みを口元に浮かべた。
「では、仕事の話をしようか」
そのまま声をかける。
「そうだな。あまり時間はない」
相手も静かにうなずいて見せた。
待ち疲れたのか、キラはすでに眠りの中に落ちている。
しかし、ラウ達はもちろん、ラクスもまだ戻ってこない。それはすなわち、アスランがまだだだをこねていると言うことだろう。
「全く、あいつは」
キラが大切なのではなく、キラを好きな自分が大切なのだとさっさと認めればいいものをとディアッカが悪態をついている。
「無理だろうな」
ため息混じりにイザークは言葉を返す。
「だよなぁ」
認めていれば、彼らが戻ってきていないはずがないのだ。そう考えればやっかいだとしか言いようがない。
「すでに、あれは刷り込みだな」
気持ちはわからなくはないが、だからといって認める気持ちはさらさらなかった。
「キラのためなら、さっさと身を退けばいいものを」
思わずそう言ってしまう。
「……そうだな」
自分ならば、身を退けと言われて身を引けただろうか。ふっとそんなことを考えてしまう。だからといって、自分がキラを手放すつもりにはなれない。
「しかし、本当にお前、キラに好かれているな」
カガリが不意にそんなセリフを口にする。
「キラがそんな風に安心した表情で眠れる相手と言えば、カナード兄さんだけだと思っていた」
自分でも無理なのに、と彼女は少し悔しげに言う。
「私だって、強くなったのに。そうでしょう、ムウ兄さん」
そのまま話題をムウへと振る。
「……まぁ、強くなったと言えば強くなったが……キラが安心で来るかどうか、別だぞ」
お前の場合、感情と行動が直結しているからな……と彼は苦笑ともに指摘した。
「カナードは、その点、必要ならどのような状況でも冷静でいられる。キラが生きているときは、だがな」
そのあたりの割り切りはさすがだよ、と呟く。
「と言うわけで、お前じゃ、まだまだって事だ」
イザークで及第点。ディアッカはもう少しがんばりましょうかな? と彼は続けた。
「……厳しいですね、相変わらず」
ため息とともにディアッカは言う。
「仕方がないな。キラのことだから」
そう言って彼は笑った。
「と言うところで……お前たち、これから話すことをキラに悟られない自信があるか?」
彼はそう問いかけてくる。その意図がわからずにイザークは彼の顔を見つめ返した。