星々の輝きを君に
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キラが不安を隠せない、と言う様子でドアを見つめている。
「キラ。あのメンバーがそろっていて、アスランに口で負けるわけがないだろう?」
だから、心配するな……とディアッカが声をかけた。
「それはわかっているんだけど……でも、ラクスさん、大丈夫かな?」
カナードとラウがそろって行った以上、かなりきついセリフを耳にしているのではないか。なれている人間ならばともかく、そうではない人間にはきついような気がする。
彼女はそう説明してくれた。
その言葉で、キラがラクスの本性に気づいていないことがわかる。
「大丈夫だって。でなきゃ、ラウさんが自重するに決まっているだろう?」
ディアッカがとりあえずフォローの言葉を口にした。
「そうだぞ、キラ。でなければ隊長とカナードさんが同行を認めるはずがない」
だから、安心しろ……とイザークも微笑む。
「彼女は間違いなく、俺たちの時代のプラントのトップに立つ人間だ。だから、見た目で判断しない方がいい」
もっとも、と彼は言葉を重ねた。
「あの二人に同時に小言を言われるのは俺もごめんだがな」
苦笑とともにそう付け加えれば、何故かディアッカだけではなくカガリとムウがうなずいている。
「兄さん達がきついのは事実だけど……でも、その所為でイザークさんとディにとばっちりが行かない?」
言外に、ザラ家から……とキラが問いかけてきた。
「大丈夫、大丈夫。うちの親は、無駄に偉いわけじゃないから」
味方してくれる者達もたくさんいるって、とディアッカは笑い飛ばす。
「うちもそうだ。だから、安心しろ」
それに、とイザークは言葉を重ねた。
「お前が望むなら、当面、俺がオーブで暮らしてもかまわないだろうしな」
このセリフに彼女は驚いたように目を丸くしている。
「イザークさん?」
あの、とキラは無理矢理声をかけてきた。
「戦争さえ終わってしまえば、いくらでも方法はある。母上も事情が事情だから納得してくださるだろう」
誰かさんに邪魔されるかもしれないがな。そう言いながらカガリへと視線を向けた。
「私がそんなことをすると思っているのか?」
即座に彼女が抗議の声を上げる。
「やるな、お前なら」
だが、そんな彼女のセリフをムウがあっさりと否定する。
「あぁ。お前なら絶対にやる」
さらにディアッカが追い打ちをかけた。
「ディアッカ!」
お前は、とカガリがかみつく。
「こうなったら、お父様にお前を『婿養子にとれ』と頼んでおくか」
そうしたら一生尻に敷けるな、とそのまま付け加える。
「……お前、本気かよ」
やめてくれ、と本気でいやそうな表情を作ってディアッカは口にした。
「第一、周りが許すはずがないだろう?」
「……いや、カガリが本気ならあり得るな。お前の母親は元々、オーブの人間だし」
確かに、ディアッカ本人は第二世代だ。だが、コーディネイトしないまま子供が生まれれば、その子供はナチュラルとして認識される。
二人の子供なら優秀だろうと判断されるだろうし、とムウは笑う。
「でも、そうするとラウがふてるな」
構える相手がいなくなって、と言えるあたり、やはり彼はラウ達の兄かもしれない。
「……そのときは、アスランに八つ当たりするんじゃないですか?」
ぼそっとディアッカが言う。
「まぁ、それは冗談にしても」
さすがにかわいそうになったのか。カガリが笑いながら言葉を口にする。
「お前がオーブに来るというなら、歓迎するぞ。そうだな、夜は遠慮しておいてやろう」
さらに彼女はこんなセリフを口にしてくれた。
その意味がわかったのだろう。キラが真っ赤になる。
「そこまでにしておけ。カナードからの教育的指導を受けたくないだろう?」
それにムウが釘を刺す。
「確かにそれはいやですね」
これ以上はやめておきます。そういう彼女にイザーク達はため息を返した。