星々の輝きを君に

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 ベッドに横になってもなかなか眠りは訪れない。
 カナードもギナも戻ってきたし、ムウもラウもいる。それなのに、どうして……と心の中で呟きながら寝返りを打った。
「眠れないのか、キラ」
 そうすれば、既に眠っているとばかり思っていたカガリが、隣のベッドから声をかけてくる。
「起きてたんだ」
 それとも、起こしてしまった? と口にしながら、キラは体を起こす。
「考え事をしていただけだ」
 同じようにベッドに起きあがりながら、彼女はこう言い返してきた。
「ムウ兄さんは確かに強いが……だからといって、私ではいけない理由はないよな、とかな」
 ナチュラル用MSの支援システムのテストパイロットは、と彼女は続ける。つまり、それが不安だ、ということだろうか。
「仕方がないよ。兄さん達は軍人だし」
 それに、とキラは続ける。
「カガリはまだ成人してないでしょう?」
 だから、戦争に関わることからは遠ざけようとしているのではないか。
「同じ理由で、僕も手を出しちゃダメなんだろうね」
 多分、自分がシステムに手を出せばカナード達の負担は減るはず。彼らもそれはわかっているはず。しかし、自分には手を出すなと厳命されてしまった。
 それと同じ事ではないか。
「僕としては、カガリが傍にいてくれると安心できるんだけどな」
 さりげなく、こうも付け加える。
「兄さん達はもちろん、イザークさん達も、これから忙しくなると思うし……」
 そう続ければ、カガリはようやく納得したという表情になった。
「確かに、私ならお前とどこでも一緒にいられるか」
 風呂の中でも、と彼女は呟く。
「いくら何でも、そこまでは押しかけてこない、と思うんだけど……」
 お風呂とトイレだけは勘弁して欲しい、とキラは言い返す。
「私もそう思いたいが、な」
 アスランが相手である以上、常識は捨てろ。カガリはそう言いきる。
「ユウナと違って、兄さん達の教育的指導が効いていないんだからな」
 それが効いているようならば、こんなことにはなっていないだろうが……と彼女は続けた。
「兄さん達がお前の婚約のことを話す、とも言っていたな。それはそれで怖いような気がするが……」
 何かを計画しているのだろうから、自分たちは下手に口を出さない方がいいだろうが、と彼女はため息をつく。
「アスランを煽ってどうするつもりなんだ?」
 カガリはそう言ってはき出した。
「イザークさんに迷惑がかからないといいんだけど」
 小さなため息とともにキラは呟く。
「そのあたりは考えているんじゃないのか?」
 もっとも、とカガリは笑う。
「お前を嫁にするということは、あれの恨みを買うと言うことと同意語だろう? その位は覚悟して貰わないとな」
 まぁ、ディアッカもいるなら大丈夫じゃないか? と彼女は付け加える。
「というか、その位出来ない奴にお前を渡すつもりは全くないぞ」
 その位なら、ギナの方がマシではないか。そう付け加えた瞬間、カガリは複雑な表情を作った。
「……まさかと思うが……」
「それはない、と思うよ?」
 本人が乗り気でも、カナード達が許可を出すはずはない。だから、とキラは言い返す。しかし、自分でもその声に力がこもっていないことはわかっていた。
「思いたいが、ロンド・ギナだからな」
 自分の楽しみのためならば多少の無理は通すぞ、とカガリは言い返してくる。
「……とりあえず、ねるか?」
 明日のためにも、と彼女は言った。
「そうだね」
 言葉とともにキラはまた毛布の中に潜り込もうとする。
「そっちに行ってもいいか?」
 その時だ。カガリの声が耳に届く。
「いいよ」
 微笑みと共にキラは頷いてみせる。その瞬間、キラのすぐ脇にカガリが使っている枕が放り投げられた。


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最遊釈厄伝