星々の輝きを君に

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 いったい何故、目の前のドアが開かないのだろうか。
 そう思いながらアスランはドアをにらみつける。
「……許可は確かに貰っていないが……だからといって、何故、だ?」
 自分たちのIDは多少のセキュリティなら無効に出来るはずだ。だから、相手の許可を得るのはただの礼儀だと思っていた。
 しかし、この部屋に関してはそれを守っていてはいつまでも中に足を踏み入れることが出来ない。
 だから、多少強引でも……と判断したのだ。キラさえ説得できれば、それに関しては不問にされるだろう、という予想もあったことは否定しない。
 しかし、彼女の顔を見ることすら出来ない、とは思っても見なかった。
「……誰の指示だ?」
 普通に考えればカナードだろう。しかし、ここはオーブではない。いくら彼でも無理を通すのは難しいのではないか。
 そうなれば、自分と同じザフト側の人間、ということになる。
「ディアッカか?」
 一番可能性が高いのは彼だろう。そして、イザークも協力をしたのではないか。
 エルスマンとジュールが絡んでいるのであれば、ザラの影響力が使えないのは当然かもしれない。
「だからといって、邪魔をされるわけにはいかないんだよ」
 キラと話をしなければ絶対後悔をする。
 いや、後悔をするのは彼女の方か。
 どちらにしても、これは自分たちの問題で――たとえ血縁があろうとも――他の人間には邪魔をして欲しくない。
「……どうするかな」
 方法がないわけではない。しかし、下手な行動を取って他の者達に警戒されるのはまずいのではないか。
 だが、とアスランは心の中で呟く。
 面会を許可されないという事は、既に警戒されていると言うことの証のように思える。
「やはり、キラに会うのが最優先だな」
 その後のことはその後で考えればいい。
 アスランはそう考えると、端末へと手を伸ばす。
「このくらいのセキュリティなら、何とかなるはずだ」
 もっとも、通常なら……だが、だ。間違いなく、カナードが手を出しているに決まっている。その技術を提供すると言われたならば、こちらとしては拒む必要はないはずだ。
「あぁ、それを取引材料に使ってもいいな」
 カナードとの、と呟きながら、いくつかの数字を打ち込む。しかし、それは何の意味も持たなかったようだ。
「やはり、か」
 それについては落胆しない。これで、カナード達がここのセキュリティに手を加えていることがわかっただけでも十分だ。
「ということは、ハッキングも難しいな」
 不可能だとは思わない。だが、その途中で誰かが邪魔をしに来るのはわかりきっている。
「なら、強引に行くしかないか」
 かといって、ここからではダメだ。
 既に、今ので中にいる者達に警戒心を抱かせてしまったに決まっている。だから、とアスランはきびすを返す。
「大丈夫、すぐに会いに行くから」
 キラ、と微笑むと、彼は足早にその場をあとにした。

 外の気配が消えた。
「諦めたのか?」
 イザークが小さな声でそう呟く。
「あり得ないな」
 そう言いきったのはムウだ。
「おそらく、俺たちを油断させるつもりだろう」
 そう付け加える。
「……どうしますか?」
 イザークはこう問いかけた。
「どうするもこうするも、キラを守るだけだが……いっそ、裏でもかくか?」
 アスランは彼女がここにいると信じている。だから、彼に気付かれないように別の場所に行かせてしまえばいいのではないか。
「ラウか、虎さんの所かな?」
 とりあえず、と彼は続ける。
「それがいいでしょうね」
 すぐに連絡を取ります。そう言ってイザークは腰を浮かせようとした。
「それは俺がやるから、お前はキラの側にいってやれって」
 ディアッカがすぐにこう言ってくる。
「そうだな。俺が行くよりも効果がありそうだ」
 どこまで本気で言っているのかわからないという口調でムウも頷いて見せた。二人揃ってそう言ってくれるのであれば、遠慮はしなくていいだろう。
「わかりした。では、遠慮なく」
 言葉とともにイザークはキラが隠れている部屋へと足を向けた。


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最遊釈厄伝