星々の輝きを君に

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 仮面のせいで、相変わらず表情が読めない。それでも、一応受け入れられているのだろう、ということだけはわかっていた。
「……そうか。困ったものだね」
 イザークの話を聞き終わったラウがため息をつく。
「キラがそのような状態なのは既に予想していたことだし、仕方がないことだとはわかっているが……」
 問題は、やはりアスランとユウナ・ロマか……と吐き捨てるように続けた。
「キラの方はカガリが傍にいるから大丈夫だ、というのがカナードさんのセリフです」
 困ったことに、彼とギナは今、この基地を離れている。
「それと、ムウさんは居残りですから」
 とりあえず、と付け加えた。
「一番、あてにならない人間だがね」
 色々な意味で、と言い切る。
「そうですか?」
「そうだよ。まぁ、戦闘に関しては一目置かないといけないだろうけどね」
 生活能力という点においては兄弟の中で最低に近い。そう言って彼は笑った。
「カガリも似たようなものかもしれないけれどね」
 あの子の場合は仕方がないのだが、といわれて納得をする。
 アスハの後継であれば、周囲にその生活を支えてくれる者達が追い勢いるはずだ。本人に生活能力がなくても困ることはないだろう。
 そんなことを考えていたときだ。
『隊長、よろしいでしょうか』
 端末から入室を求める声が響いてくる。それが誰のものか、確認しなくてもわかってしまう。
「イザーク」
 その瞬間、どんな表情を作っていたのか。ラウが注意をするように声をかけてくる。
「申し訳ありません」
 即座に表情を引き締める。
 同時に、どれだけ自分が未熟なのかを再認識してしまった。
「気持ちはわかるがね」
 苦笑と共にラウは言う。
「君はもう少し腹芸を覚えた方がいいかもしれないね。でなければ、カナードを見習うといい」
 何があろうとほとんど表情を変えない、と言うところだろうか。どちらにしろ、ラウの忠告であるなら、耳を貸さないわけにはいかないだろう。
 イザークの反応を確認してからラウは端末へと手を伸ばす。
「緊急の用事かね?」
 そのまま、胸の中にある複雑な感情を見せない声音で問いかける。
『そういうわけではありませんが……是非とも相談に乗って頂ければ、と思います』
 相談ではなくごり押しだろう、とイザークは心の中で呟く。そして、彼が何を言い出すのかも想像が付いていた。
「……自分は失礼した方が?」
「構わないだろう。君の方が先約だ」
 アスランの用事はすぐに終わるに決まっている、と彼は続ける。
「わかりました」
 彼がそう言うのだ。自分はしたがっていればいい。そう判断をしてイザークは口をつぐむ。
「……別の用件の最中なのだがね」
 彼の言葉を確認してからラウはこういう。
『すぐに終わります』
 引き下がる気配を見せずにアスランは言葉を返してきた。
「仕方がない。五分だけだ」
 言葉とともに彼は入室の許可を与える。
「失礼します」
 言葉とともにアスランが姿を見せた。
「イザーク?」
 何故、ここに……と彼は問いかける。
「私が呼んだのだよ。それで? 君の用事とは?」
 アスランの疑問をさっさと切り捨てると、ラウは逆に問いかけた。
「……彼らと一緒に落ちたオーブの民間人もまだこちらにいると聞いています。彼女に面会する許可を」
「残念だが、出せないね」
 アスランの言葉を最後まで言わせることなくラウは言葉を口にする。
「何故ですか!」
「彼女たちはバルトフェルド隊長の保護下にある。面会の許可も彼が出しているはずだ」
 そうだね、とラウが問いかけてきた。イザークは静かに首を縦に振ってみせる。
「だそうだよ。だから、バルトフェルド隊長に頼みたまえ」
 ラウは冷笑と共に言葉を口にした。
「……バルトフェルド隊長は、隊長の許可が出たら、とおっしゃっていました」
 どうやら、既に断られているらしい。それは当然だろう、とイザークは思う。
「なるほど」
 ラウのこの言葉に、アスランは期待の眼差しを向ける。
「残念だが、出す気はないよ」
 しかし、彼はあっさりとこういった。
「何故ですか!」
 予想外の言葉だったのだろう。アスランは叫ぶように問いかけてくる。
「キラ嬢の君に対する拒否反応はPDSTと言っていいそうだよ。それを刺激するのは彼女のためにはならない。そう言うことだ」
 だから、許可は出せない。そう言われた瞬間、アスランがものすごい表情を作る。これは、あとで足らに忠告を入れておかないといけないな……とイザークは心の中で呟いていた。


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最遊釈厄伝