星々の輝きを君に

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「カガリ」
 彼女たちの顔を見た瞬間、キラが口を開く。
「イザークさんに何かした?」
 きっぱりとそう言いきったのは、付き合いの長さ故、というべきなのだろうか。
「何かって……」
 言葉とともにカガリが視線を彷徨わせ始める。
「とりあえず、挨拶ぐらいだぞ」
 そのまま彼女はこういった。
「なんか、やったんだ」
 即座にキラがそうつっこむ。
「兄さん?」
 そのまま、彼女は視線を移動させた。おそらく、彼らが真実を知っていると判断してのことだろう。
 しかし、彼らの方が一枚上手だ。適当な微笑みと共に見事にしらを切り通している。その表情から彼らに問いかけても無駄だと思ったのだろう。
「ディ?」
 今度はディアッカへと矛先を変えた。
「……普通はおじさんがすること、だな」
 あれは、と彼は口にする。
「ちょっ、ディ!」
「この場合、俺が優先するのはキラとイザークだろう?」
 どう考えても、イザークはアウェイなんだし、と彼は笑った。だから、無条件でイザークの味方をする、と続ける。
「他の状況であれば、いとこのよしみでお前の味方をするがな」
 そう言って、彼は笑った。
「まぁ、妥当なところだな」
 彼の言葉にムウも頷く。
「……ともかく、カガリ」
 低い声でキラが彼女に呼びかける。
「余計なことはしないで。僕が僕の意志で選択したことだし、父さんの権利なら、それは父さんがすべき事だもの」
 たとえ血のつながりがあったとしてもカガリは当事者ではない。だから余計なことをするな……と彼女は言い切った。
「だけどな、キラ」
「いいわけはしないで! でないと、おじさまにあれこれ報告するよ?」
 そうしたら、きっと、外出禁止になるだろうね……とまで言われるような内容とは何なのか。
「それは是非とも聞きたいな」
 今まで黙って聞いていたギナがそう言って笑う。
「それはやめてくれ!」
 困る! とカガリが叫ぶ。
「なら、もう余計なことはしないで」
 いい? という彼女に、カガリは渋々と頷いてみせる。
「まぁ、代わりにアスランが来るんだ。それで鬱憤でも晴らせ」
 にやりと笑いながらディアッカが言った。その瞬間、キラの表情が強ばる。
「ディアッカ!」
 バカ、と反射的にイザークは彼の脚を蹴飛ばしていた。
「悪い」
 彼にしても、キラがここまで顕著な反応を見せるとは思っていなかったのか。しまったという表情を作っている。
「だが、それは真実だ。いつまでも逃げているわけにはいかないだろう?」
 カナードが冷静な口調でことはをかけてきた。
「そうだな。さっさと片を付けてしまった方がいい」
 でないと、ゆっくりと過ごせないだろうからな……とムウも頷いてみせる。
「ラウの野郎も戻ってくるんだ。久々の水入らずの時間をバカに邪魔されるのは不本意だからな」
 だから、しっかりと引導を渡してやれ……と彼は続けた。
「頑張れ」
 カナードもそう言って笑う。
「いざとなれば、カガリを前面に出せばいい。あいつも無視は出来ないだろうからな」
 さらに付け加えられた言葉に苦笑しか浮かんでこない。
「そうだな。あれならば殴っても困らないか。ラクスも文句は言わないだろうし」
 カガリもこう言って頷く。
「……それはなんか違うと思うけど……」
「でも、昔からだろう? こいつらの仲の悪さは」
 キラの言葉にディアッカがこう言い返す。
「そうなんだけどね」
 でも、本当にいいのか……とキラは首をかしげる。
「いいと言うことにしておけ。そいつならアスランに負けない」
 苦笑と共にイザークが言う。
「あいつにしても、ナチュラルの女性に負けたとなれば恥だからな。公言できないだろう」
 相手が規格外だったとしても、と続ける。
「お前、何が言いたい?」
「自分がしたことを思い出せばわかるだろう?」
 カガリの問いかけに、イザークはこう言い返す。
「本当に、いったい何をしたの、カガリ?」
 それがキラの怒りを再燃させたのは失敗だったかもしれない。イザークもそれだけは認めざるを得なかった。


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最遊釈厄伝