星々の輝きを君に
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見事に――というか、予定通りと言うべきか――ストライクに逃げられた。それでも、デュエルが動けなくなるような損傷を受けなかっただけでもましだろうか。
「……アスランが?」
それよりも優先すべきなのはこちらだろう。そう判断をして、ディアッカを捕まえた。
「らしいぞ。もっとも、あちらからの情報だが……」
いったい、どうやって連絡を取り合っているのだろう、と本気で不思議に思う。
「まぁ、カナードさんだから」
ついでに、うちの隊長だし……と言われて納得するしかないというのは何なのか。そうは思うが、事実だから仕方がない、と言う表情でディアッカは言葉を返してくる。
「それで? お前はいいわけ?」
さらに彼はこう問いかけてきた。
「何が、だ?」
「あいつと直接対決するつもりなんだろう?」
キラのことで、と彼は視線を向けてくる。
「もっとも、本人が承諾してくれたら、の話だがな」
それに関して無理強いは出来まい。イザークはそう言い返す。
「もっとも、現状は『名目だけ』でも構わないが」
それだけでも、キラをアスランから守るには十分だ。しかし、彼女はそれを拒みそうな気がする。
「それなら、お前を選ぶような気もするしな」
おそらく、未だにキラの中で迷惑をかけていいと認識されているのは自分ではなく彼の方だろう。
「……そんなことになったら、うちの母が泣いて喜ぶぞ」
代わりに、カナード達にはいじめられるだろうが……とディアッカは深いため息をつく。
「どちらにしろ、作戦が終わるまでは動きようがない」
通信機越しにする話ではないだろう、とイザークは続けた。
「そうだな」
確かに、とディアッカも頷いてみせる。
「ばれたときが怖いし」
特に、隊長に……と彼は続けた。
「実は、あの人が一番、そう言うことに細かい」
キラに一番夢を持っているらしいから、と微苦笑と共に教えてくれる。
「もっとも、十年近く前の話だけどさ」
でも、今も変わらないのではないか……とディアッカは言い切った。
「否定する材料がないな」
自分が知っている言動だけでも、とイザークは頷く。
「そうなると、やはり、早々にあの艦を拿捕しないといけないわけか」
難しいな、と素直に口にする。
「だよな。カナードさん一人に遊ばれてたし」
本当に、あの人は……とディアッカもため息をつく。
「ストライクをどうやって止めるか。それが重要か」
どうすればいいのだろうか、と思う。
「バッテリー切れも望めないしな」
ストライクの場合、バックパックを換装すれば、バッテリー切れが解消される。だから、先に自分たちの機体の方が先に動かなくなるだろう。
かといって、実力で止めるのは難しいのではないか。
「いっそ、別働隊を作って、ストライクを惹きつけている間にあれを制圧した方がいいような気がするな」
それが出来るかどうかは別にして、とディアッカは呟く。
「とりあえず、提案してみるか?」
判断するのはバルトフェルドだ。だから、とイザークは言う。
「それしかないだろうな」
少しでも可能性があるのであれば、とディアッカも同意をした。
「後は……ロンド・ギナが参戦してこなければいいんだけど」
あの人はカナードと別の意味で強い。そう言って、彼はため息をつく。
「……それはないと思いたいな」
というよりも、そうなったら自分たちの方が負けるのではないか。そんな恐怖すらわき上がってくる。
「アスラン相手なら、いくらでもやって欲しいけど」
それを笑い飛ばすかのようにディアッカがこういった。