星々の輝きを君に

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  63  



 そのころ、ギナはどのような手段を使ったのか。アークエンジェルの中にいた。
「……どうかしたのですか?」
 くくっと笑いを漏らした彼に、カガリが問いかける。
「キラの所にあれが姿を現したそうだ」
 見え見えの誘いに乗るとは、と彼は楽しげに告げた。
「そう言うことだからな。この続きはまた後で、だ」
 これから、あれがどうなっているのか。この目で確認してこなければいけない。できれば、やりこめられている時の映像も欲しいのだが、と彼は付け加える。
「それ、私も欲しいです」
「そうですね」
 確かにみたい、とカナードも笑う。
「少なくとも、気分転換ぐらいには役立つでしょう、俺の」
 ムウやラウだって同じ気持ちではないか。彼はさらに言葉を重ねる。
「確かにな」
 ミナも喜ぶのはわかりきっている……とギナは頷いて見せた。
「ということで、あちらと交渉するか」
 映像に関しては、とギナは立ち上がる。そのままきびすを返そうとしたが、彼は思い直して足を止める。
「そう言えば、あれはつついて構わないのか?」
 ディアッカと一緒にいるあれは、とそのまま問いかけた。
「……適当にお願いしますが……キラが気に入っていますから」
 いじめすぎないで欲しい。言外にカナードが告げてくる。
「数少ない合格点を与えられた相手ですからね」
 もっとも、最終的に認めるかどうかは別問題だが、と彼は笑った。
「そうだな。私はまだ直接会ったわけではないし……」
 さらにカガリもそう言って頷いて見せる。
「ミナも会いたがるだろうな、確かに」
 あれには、と続けた。
「ならば、適当に……だな」
 何よりも、キラに泣かれるのが辛い。
 それは自分も変わらないのだ。
「とりあえず、お前らも無事でいろ」
 三人に何かあれば、それこそ悲しむなどというものではないだろう。そう続ける。
「わかっています」
 カナードは頷いて見せた。
「だから、俺はここにいるんです」
 さらに言葉を重ねる。
「そうだな」
 頷くと、ギナは今度こそその場を離れた。

 バルトフェルドの機嫌をどう判断すればいいのだろうか。これがラウならば、まだ読めるような気がするが……とディアッカは心の中で呟く。
「キラに、何かありましたか?」
 ふっと思いついた。そんな口調でイザークが問いかけている。
「害虫駆除をする、とアイシャから連絡があってね」
 その場にさんかできないのがちょっと悔しいと思っただけだ。彼はそう続ける。
「……害虫?」
 すぐには思いつかなかったのだろう。何だ、それは……とイザークが呟いている。
「オーブ産の害虫ですか?」
 しかし、ディアッカは違った。というよりも、そう言われている相手をすぐに思い出せるくらい聞かされていたと言った方が正しいのか。
「俺たちが出かけてすぐに連絡があったそうだ」
 アイシャが喜々として迎撃体制に入っている。彼はそう言って笑う。
「この目で、その様子を見られないのが残念だよ」
 かといって、戻るわけにもいかないしね……と彼は深いため息をついた。
「仕方がないので、その様子を録画しておくように、と頼んでおいたがね」
 君達も見るかね? と彼は問いかけてくる。それに反射的に頷いてしまった。その後で、ディアッカは苦笑を浮かべる。
「当然だろうね。まぁ、ロンド・ギナ・サハク氏が駆けつけてくれる予定だから、キラ嬢のことは心配いらないと思うよ」
 ということで、さっさと目的を果たしてしまおうか。バルトフェルドはそうも続けた。
「わかっています」
 自分たちがすべき事は、足つきの捕縛。
 それが無理でも、カナードと何としてでも接触を持たなければいけない。あるいはムウか。
 どちらにしても、綱渡りだと言うことは間違いないだろう。
 それでも、これからのことを考えればやらないわけにはいかない。
「アスランがどう出るかわからないからな」
 こっちも問題だよな、とため息をつく。
「そちらは、隊長に何とかして頂くしかないだろうな」
 イザークのこの言葉に頷くしかできない彼だった。


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最遊釈厄伝