星々の輝きを君に

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 ディアッカのその不安はあたらざるも遠からず、と言ったところだった。
「あいつらも近くに落ちたようだな」
 ニヤリ、と笑いながらカナードが呟く。
「兄さん?」
 カガリですら、その表情には恐怖を覚えるほどだ。
「何だ、カガリ?」
 それでも、自分に向けられる声音は優しい。その事実に、少しだけほっとする。
「あいつらって、キラとディ達か?」
 だが、それならばどうしてそんな表情を作るのかがわからない。彼女たちが無事なのはいいことではないか。そう思ったのだ。
「あいつらは、な。問題は、その情報をあちらも掴んでいる、ということだ」
 当然、連中にも流れていると考えていいだろう。
「きっと、一度は動きがあるぞ」
 八つ当たりしても構わないよな? と彼は続ける。
「あぁ、そう言うことなら、私も混ざりたい!」
 そいつらなら何をしても許されるよな? とカガリは問いかけた。
「あいつに手を出せなくて、ちょっといらついていたんだ、私は」
 アスランが近くにいたのに、だ。
「それに関しては、とりあえず俺がしておいた。後はあの人に任せておけ」
 かなり楽しい報復方法を考えているらしいからな、とカナードはまた先ほどの笑いを浮かべる。
「ついでに、こちらも、だ」
 さらに彼がそう付け加えたときだ。
「できれば、こちらへの被害は最低限に押さえてくれるとありがたいんだがな」
 ついでにあの二人とおまけ一名にも、と告げる声が響いてくる。
「大丈夫でしょう。キラが悲しむことをすると思いますか?」
 どうやら、カナードは彼の存在に気付いていたらしい。平然とこう言い返している。
「それよりも、別の方に同じセリフを言った方がいいと思いますよ?」
 さらに付け加えられた言葉に、ムウが眉根を寄せた。
「誰がこちらにきているんだ?」
 その表情のまま、いやそうに彼は問いかける。
「ギナ様がおいでだそうですよ。それと、あれも」
 あれがなんできているのかは知らない。だが、ギナはあれを連れ戻すために来たそうだ……とカナードは言う。言葉を綴ると同時に笑みが深まっていくのが怖い。
「そうか……連絡が取れるなら、とりあえず『殺すな』と連絡しておいてくれ」
 死なれると、色々な意味で厄介だ。ムウはこういう。
「しかし、こうなるとあいつがここにいないだけましかもしれないな」
 彼がここにいればギナとセットで何をしてくれたか。そう考えれば、胃が痛いなどと言うものではない。ムウはこう続けた。
「確かに。そうなった場合、これを止めるだけでも厄介でしょうし」
 言葉とともにカナードはカガリを指さす。
「酷いな。いくら私でも、TPOぐらい、わきまえている」
 だから、やるとすればあれに関してだけだ、とカガリは言い返す。
「あれなら、多少のことは見逃してもらえるはずだろう?」
 違いますか? と彼女は問いかけた。
「確かにな」
 ムウがこう言って笑う。
「しかし、俺たちがフォローできないようなことをするな」
 最悪、あの子に危険が迫る……とカナードが顔をしかめた。
「今、あの子の傍にいるのはあの二人だけだ。そう考えると今ひとつ安心できない」
 彼はそうも続ける。
「だが、あちらさんは《砂漠の虎》と合流したようだからな。当面は大丈夫だろう」
 あいつですら認める指揮官だそうだ、とムウは言う。
「あの子は民間人だからな。しかも女だ。それだけでも、噂通りの人間なら完璧に保護してくれるだろう」
 彼がそう言うのであれば、嘘ではないだろう。それでも、できれば自分の目で確認したい。
「会いたいな、あの子に」
 カガリは思わずこう呟いていた。

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最遊釈厄伝