星々の輝きを君に
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ディアッカ達には止められている。
ラウに知られたら、間違いなく怒られるだろ。
「でも、何も知らないのは、いやだから」
小さな声でそう呟くと、キラはキーボードを叩く。
「サハクのお二人に連絡が取れれば、きっと、兄さん達のフォローをしてくれるはずだし」
自分のことは、とりあえず心配はいらないから……とキラは付け加える。
ここにはディアッカがいる。イザークもだ。
そして、後少しすればラウが戻ってきてくれるだろう――もっとも、アスランも一緒だろうが――
「とりあえず、連絡され取れるようなら、お二人とも無茶はしないと思うんだけど」
特にギナは、とキラは呟く。
連絡を取るだけならば簡単なのだ。
問題は、あの二人の正体をそれぞれの陣営に知られないことかもしれない。
そう考えると、連絡を取らない方がいいのではないか。
「でも、前回のことがあるからなぁ」
またウィルスを送り付けられては厄介だ。困るのは自分ではなくザフトの人間なのだ。
今回だって、キラが解除方法を見つけ出してディアッカ達が即座に拡散させたから大事にはならなかった。しかし、次回もそうだとは思えない。
「地球軍はどうなったんだろう、そう言えば」
カナードからのメールにはまったく触れられていなかったが。しかし、彼の性格を考えればそれはおかしいことではない。身内と認定した者達以外はどうでもいいと考えるのが彼なのだ。
「とりあえず、兄さん達にメールを送るのと同じ方法を使えるよね?」
あちらのアドレスは変わっていないはずだし、と呟く。
問題があるとすれば、自分側のアドレスが非常用のものだったということだ。それを彼らが知っているかどうか。
「出してみるしかないんだよね」
とりあえず『無事だ』と言っておけばいい。
後は、ラウと連絡を取ってくれと付け加えれば自分がどこにいるのかはわかるのではないか。そして、安心してくれるような気がする。
「というわけで、事後承諾だけどいいよね」
小さな声でこう呟くと、手早く文面を打ち込んでいく。
「送信、っと」
そのままEnterキーを押すと、とりあえずパソコンをスリープモードにする。
「そろそろ、ディ達が来るかな」
言葉とともに立ち上がった。
「そろそろ、プログラミングにもあきてきたんだよね」
作るのは好きだけど、出来たものを検証できない。それでは意味がないし……とキラは呟く。
「厨房を使わせてもらえれば、気分転換にお菓子が作れるんだけど……無理だろうし……どうしよう」
後、何が出来るだろうか。
「マイクロユニットは、死んでもいやだし」
苦手だ、ということはもちろんある。それ以上に、自分がそんなものに手を出していると知れば、戻ってきたアスランがどのような行動に出てくれるか。それがわからないのだ。
「……アスランとは、会いたくないもん」
ラウと離れるのは寂しかったが、それでも、アスランも一緒に連れて行ってくれたから我慢できた――もちろん、我慢できた理由の中にディアッカ達の存在があったことも否定しない――のだ。
しかし、その彼が戻ってくる。
そう考えただけで恐怖がわき上がってくるのは、間違いなく、あの日のことがあったからだ。
「……僕は会いたくないのに……」
彼と自分は釣り合わないと知っている。
実際、何度も彼にそう訴えた。自分だけではなく、カナードや両親も、だ。
それなのに、どうして彼は未だに自分に執着をしているのだろうか。
「ここには、ディやイザークさんがいるから、大丈夫だよね?」
何よりもラウがいる。
彼がきっと、アスランの動きを制止してくれるのではないか。
それでも、アスランだから安心は出来ないのだが……とため息をつく。
その時だ。
「キラ、飯に行こうぜ」
言葉とともにディアッカが顔を出す。
「……あんまり、食べたくないんだけど」
反射的に言い返してしまう。
「お前なぁ……だから、いつまで経っても細いんだって」
これ以上やせられたら、自分がカナードに責任を問われる……とため息をつきながら、彼はキラの体を引き寄せた。そのまま、軽々と担ぎ上げられてしまう。
「ディ!」
ちょっと、とキラは叫ぶ。
「いいから、いいから。イザークも待ってるし……」
喰えない分は喰ってやるから、とディアッカは聞く耳を見せない。そのまま、彼女は抱えられたまま食堂まで連れて行かれたのだった。