星々の輝きを君に

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 キラを懐かせたままディアッカはバスターの整備をしている。それだけでも、キラは落ち着いているらしい。
「本当は、こんな場所にあいつを連れてこない方がいいんだろうが……」
 それでも、現状ではそうする以外にないのか……とイザークはため息とともに呟く。
「そうですね。でも、人目がある方がキラさんにとってはいいかもしれませんよ?」
 少なくとも妻帯している者達はキラの現状に同情している。そして、バカを制止してくれるはずだ。
「何よりも、彼らはキラさんを甘やかしていますしね」
 さりげなくドリンクを手渡したり気遣うような声をかけている。
「……俺たちもいるか、ここには」
 何かあっても対処できるだろうな、とイザークが呟いたときだ。
「イザークさん、ニコルさん」
 二人の名前を呼びながら、キラがこちらに近づいてくる。
「どうした?」
 言葉を返しながらイザークは床を蹴った。そのまま、キラへと近づいていく。ふわりと微笑んだ彼女の体を守るかのようにその腕の中に閉じ込める。
 そんな彼女から見えない角度で、ニコルが彼女を追いかけてきた邪魔者を蹴飛ばしていた。
「なんか、僕に聞かせたくない話があるみたい」
 だから、と彼女は続ける。
「あぁ。機密に関わることか」
 それは仕方がないな、と微笑んで見せた。
「俺たちの方の機体は終わっているから、だろうな」
 自分たちのそれは別の意味で手をかけられているから、とイザークは言う。
「そう言えば、イザークさんのデュエルは、ずいぶんといじられているようだけど」
 腕の中からキラは彼を見上げてくる。
「あぁ。どうやら、あれは開発用の基本になった機体らしくてな。バッテリーの保ちが悪いのが気になっていたんだ」
 それの解消策が見つかったらしくて、作業を開始しただけだ。そう告げる。
「そうなんだ」
 よかった、と言っていいのかな? とキラは首をかしげた。
「俺としてはありがたいがな」
 まぁ、そう言う話はここまでにしておこう……とイザークは口にする。
「うん。僕が聞いてはいけないもたくさんあるんだもんね」
 それにキラは即座に言葉を返してくれた。
 この物わかりの良さはカナードの教育なのだろうか。どちらにしても守秘義務を抱えている立場からすればありがたい。
「じゃ、移動をするか。俺はこれから食事だ。よかったら付き合ってくれ」
 ドリンクだけでもいい。一緒にいて話をしてくれればいい。そう彼は続ける。
「その位なら」
 でも、と彼女は不安そうな表情を作った。ディアッカに何も言わずに移動していいものかどうか。それを悩んでいるらしい。
「心配するな。ディアッカも終わればそちらに来るだろうからな」
 あいつのことだから、腹が減ったと言って……と告げればすぐに「そうだね」と頷いてみせる。
「ニコル、お前も付き合うか?」
 満足行くまで不埒ものを〆終わったのだろう。満面の笑みを浮かべている彼に向かって声をかける。
「御邪魔じゃないなら、お付き合いしますよ」
 そうすれば、意味ありげな言葉を返してきた。
「どうして、ニコルさんを邪魔と思うと思うんですか?」
 意味がわからないというようにキラが首をかしげている。
「まぁ、それは気にしないでおいてください」
 そう言ってニコルは柔らかな笑みを浮かべた。そんな彼の表情にキラはますます首をひねっている。
「というわけで、行きましょうか」
 それを無視してニコルが言う。
「そうだな」
 頷き返すと、キラを腕の中に閉じ込めたままイザークは移動を開始した。

 そのころ、本国から合流のために移動していたヴェサリウスがあるものを拾っていたのだが、その事実は彼らの耳までまだ届いていなかった。

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最遊釈厄伝