星々の輝きを君に

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 キラに与えられている部屋へとはいれば、デスクの上にパソコンが起動したまま放置されていた。もっとも、画面はスクリーンセーバーになっていたが。
「ちょっと待ってね」
 パスワードを打ち込みながらキラはそう言ってくる。
「お前、いつの間にそんなもん、作ったんだ?」
 ザフトの官給品のパソコンにそんなものは入っていなかったはず。そう思いながら問いかけた。
「時間だけはあったし……このくらいなら二時間ぐらいで出来るよ」
 素材は適当だし、と彼女は続ける。
「そうか」
 まぁ、確かに暇だもんな……とディアッカは呟く。
「よければ、後でソースを見せて頂けますか?」
 興味津々といった様子でニコルが言葉を口にする。
「いいですよ、これなら」
 この一言に引っかかりを覚えたのはディアッカだけではなかったらしい。
「他に、どんなプログラムを作ったんだ?」
 イザークがこう問いかける。
「ハッキング用のツールとメールソフト、それにゲームをいくつかかな?」
 前者はラウの許可を得ているから問題はないよね? とキラは首をかしげた。
「あの時のか」
「そう」
 ならば、確かに自分たちが文句を言う必要はない。
「個人的には、そちらのソースも見せて頂きたいのですが」
「ごめん。それは拒否していい?」
 見られても理解できないと思うけど、流石に……とキラは苦笑を返す。つまり、ザフトにもハッキングをしかけていると言うことか、とあきれたくなる。だが、騒ぎになっていないからばれてはいないのだろう。
「当然ですよね」
 苦笑と共にニコルがそう言い返している。それでも、きっと諦めていないんだろうな……と言うのは付き合いの長さから想像が付いた。
「ゲームというのは?」
 イザークがそっと問いかける。彼にしては珍しいな、と思うが、相手がキラだからだろう……とすぐに納得した。
「暇つぶし用のパズルゲーム。でも、自分で作ると今ひとつ面白くないんだよね」
 わかっているから、と彼女はため息をつく。
「それは、仕方がないな」
 ディアッカは苦笑を浮かべながら彼女の背中を叩く。
「それについては、後でなんか探しておいてやるよ。アナログなもんでもいいんだろう?」
「うん」
 何なら、編み物でもいいけど……と彼女は笑う。最近覚えたから、とも。
「そっか……その位なら、今度、母さんにでも頼んでおくよ」
 その言葉に、キラは小さく頷く。
「メール、でたよ」
 これ、と彼女は少し体の位置をずらす。
「了解」
 言葉とともにディアッカはモニターをのぞき込む。そして、そこに表示されている文字を目で追った。
「しかし、あちらにいらっしゃるんですよね?」
 その間にも、ニコルがキラに疑問を投げかけている。
「サブシステムは乗っ取り済みだって」
 さすがは兄さん、と彼女が感心した口調で言い返した。
「そうか。確かにあの人ならその位するだろうな」
 イザークも頷く。そのまま彼も視線をモニターに向けてきた。
「……カナードさんが冗談を言うとは思えないな」
「まして、ラクス嬢の名前を出すはずがない」
 彼はそんな人間ではないことを、自分も知っている。イザークもそう言って頷いて見せた。
「ということは、ものすごく厄介だ、という事じゃないですか」
 どうするんですか、とニコルが問いかけてくる。
「隊長に連絡だな」
 そして、指示を仰ぐしかない。イザークはため息とともに告げた。
「そうだな。当面は、カナードさんにお願いするしかないか」
「カガリもいるから大丈夫だと思うんだけど」
 それでも、厄介なことには違いがない。
「ラクス嬢の無事はいいんだが、本当に厄介なことになったよな」
 本当にため息しか出てこないぞ。そう口にしながらも、これからのことを脳裏で考えていた。

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最遊釈厄伝