星々の輝きを君に

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 データーの探索にはオロール達がでた。代わりに、ディアッカとイザークにはキラを連れてヴェサリウスに来るように、との命令が伝えられたのだ。
「……まぁ、それはそれで構わないが」
 キラの立場を早々に決めてしまいたい。そうすれば、彼女ももう少し気兼ねなく過ごせるのではないか。
「いっそ、本国に行かせたいところだが……流石にそれは俺たちの権限を越えるか」
 勝手に連絡艇を仕立てるわけにはいかないから、とディアッカは本気で悔しそうに告げる。
「気にしないで。僕のことはディとイザークさんが守ってくれるでしょう?」
 キラはこう言って微笑む。
「それに、兄さんが迎えに来てくれるかもしれないから」
 それならば、こちらの方が楽ではないか。彼女はさらに言葉を重ねる。
「いや、それは別の意味でまずいから」
 カナードが来るとなると、絶対に厄介ごともセットに決まっているから……とディアッカが言い返す。
「でも、カガリが来るよりましだよ?」
 即座にキラが反論をする。
「……あいつか……」
 否定できないな、とディアッカはため息をつく。
「どなたなのですか?」
 ニコルがさりげなく口を挟む。
「……僕の従姉妹」
「まぁ、そう言う相手だ」
 かなり強烈だよな、あいつは……とディアッカは苦笑と共に告げた。
「まぁ、機会があったら顔を合わせることもあるだろうさ」
 今は隊長の所に行かないと、と彼は続ける。その話題の転換方法に強引さを覚えたのは自分だけだろうか。それとも、この場で説明するにはまずい立場なのか。
 何の根拠もないが後者のような気がする、とイザークは心の中で呟く。
「……ディ達の隊長さんって、どんな人なの?」
 キラがこう言ったこともその証拠のように思えてならない。
「隊長ですか?」
 どう説明すればいいのか。それがわからない……と言う表情を隠さずにニコルが視線を流してくる。
「まぁ、悪い方ではない」
 とりあえず、とイザークは言葉を口にした。
「そうだな。後は自分の目で確認してくれ」
 色々な意味でインパクトがある人だ、とディアッカも付け加える。
「インパクトがある、悪い人じゃない人……」
 どんなだろう、とキラは首をかしげて見せた。
「あってみりゃわかるって」
 ほら、といいながらディアッカが手を差し出す。当然のようにキラはそれに掴まった。
 そんな些細な行為が引っかかりを覚えるのは自分がやりたかったからだろうか。それと出遅れたからか。
「とりあえず、ディアッカにくっついていろ」
 どちらにしろ、キラが今、一番安心して頼れるのは彼に決まっている。だから、と自分に言い聞かせた。何よりも、彼の方が自分よりも体格がいい。何かあっても、キラのフォローをするのは適任だろう。
「そうですね。そうすれば迂闊な人間は近づけません」
 ニコルも同意をしてみせる。
「もっとも、どこにも例外はいるがな」
 そう言いながらイザークは視線を移動させた。そこには、真っ直ぐにこちらに向かってくるミゲルの姿があった。
「待ってたぞ」
 まったく、といいながら、彼はすぐ傍に着地する。
「そちらが、ディアッカが連れてきたお姫様か?」
 そのまま、彼はキラの顔をのぞき込もうとした。そんな彼の視線から逃れようと、彼女はディアッカの背中へと移動する。
「ミゲル……キラを恐がらせるな」
 ため息とともにイザークは彼の襟首を掴む。
「そう言うなって」
 俺、ミゲルな……とさりげなく自己紹介をするあたり、さすがだというべきか。
「ともかく、隊長がお待ちだから」
 後でゆっくりとな、と付け加えると同時に彼は行動を開始する。その後をイザーク達も付いていく。
「キラ。面倒だからそのまま俺に掴まってろ」
 無重力になれていない彼女が困らないようにという気遣いだろう。ディアッカがこういう。
「うん」
 ここで余計な手間をかけさせてはいけない。そう判断したらしいキラも、素直に頷いている。
「……従姉妹とわかっていても、なんか気に入りませんね」
 ぼそっとニコルが不穏なセリフを口にした。
「あきらめろ」
「わかっていますけどね……僕が彼くらい大きければ頼って頂けたのでしょうか」
 それはないと思う、とイザークは心の中で呟く。きっと、キラの中でディアッカは多少の迷惑ならかけても構わない相手、と認識されているのだ。自分も、そう思って貰いたいのだが……とイザークは思う。
 だが、それもこれも、これからの努力で何とかなるのではないか。
 そんなことを考えているうちに、目的地へとたどり着いていた。
 彼らと入れ替わるかのように執務室から姿を見せた者がいる。その顔を見た瞬間、イザークは忌々しい気持ちになった。
 できれば、このまま無視していたい。そう考えるものの相手がそれを許してはくれない。
 視線をこちらに向けてくる。次の瞬間、驚いたような表情を作った。
「キラ?」
 そのまま、彼女の名を呼ぶ。同時に、キラが表情を強ばらせたのがわかった。

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最遊釈厄伝