星々の輝きを君に
18
でていったイザークがディアッカと共に戻ってきた。しかし、彼らの表情はとても硬い。
「何かあったの?」
彼らの表情からそう推測をしてキラは問いかけた。
「あぁ」
深いため息とともにイザークが頷いてみせる。
「いいか? 落ち着いて聞いてくれよ?」
聞き終わった後でなら、何を言われてもいいが……と言ってきたのはディアッカだ。
いったい、何があったのだろうか。そう思うと同時に、心の中で葉不安がふくれあがってくる。彼らがこんな表情をしているということはかなり厄介な状況なのだろう。
「……兄さんが、何かやった?」
一番考えられるのはこれだが、と思いながら口にする。
「いや、それはない」
即座にディアッカがこう言い返してきた。
「そんなことになっていたら、こうして話なんて出来ねぇよ」
さらに付け加えられた言葉に、キラも「そうだね」と同意をしてしまう。
「もっとも、はっきり言ってしまえばそっちの方がマシだったかもな」
状況的には、とディアッカは言い切った。
「お前がここいる以上、俺たちへの被害は少ないだろうからな」
それに関しては否定できない。だが、カナードはディアッカも気に入っていたから彼も大丈夫なはずだ。
もっとも、精神的な被害はどうかまでは責任を取れない。
それはディアッカもわかっているはず。わかっていてその方が『マシ』といっているとすれば、よっぽどのことではないか。
「じゃ、何があったの?」
聞かないわけにはいかないだろう。意を決してキラは問いかける。
「……ヘリオポリスが崩壊をした」
言葉を返してくれたのはイザークだ。
「ヘリオポリスが?」
しかし、彼の言葉をすぐに理解できない。いや、感情が理解を阻んだ、といった方がいいのか。
「あぁ……おそらく、戦闘中に流れ弾がコアブロックに直撃したせいだと……」
そのせいで崩壊したのではないか。彼はそう続ける。
「それは、あり得ないよ」
キラは反射的に叫ぶように言葉を綴った。
「コアブロックが破損しても、すぐにバックアップシステムが動くように設計されているのに……電源だって、完全に独立しているんだよ?」
そのバックアップも一カ所ではない。
「バックアップを含めた全てのシステムが同時に損傷するか、誰かが操作しない限り、崩壊なんてするはずがないのに」
なのに、とキラは続ける。
「しかし、現実問題としてヘリオポリスは崩壊したんだぞ?」
もっとも、脱出艇はほぼ全部、安全に避難していったようだが……とディアッカは言い返す。
「ディ達の言葉が嘘だとは思ってないけど……でも、おかしいんだよ、それが」
あのシステムは父と自分が手がけたのに、と言葉を重ねる。
「……なるほど。なら、バグがあるわけねぇな」
ディアッカが言い切った。
「しかし、現実問題としてそれを調べる方法があるのか?」
キラの主張が正しいとしても、それを裏付ける証拠がなければ意味がない。イザークが口を挟んでくる。
「……ログを確保できればいいんだけど」
データーを保持するために何かあると同時にシステムがバックアップを射出することになっているから、とキラは言った。
「それさえ確保できれば、こちらだけの責任ではない、と証明できるわけか」
イザークは小さな声で呟く。
「しかし、そのバックアップをどうやって見つければいいのですか?」
何か方法があるのか、と先ほどイザークを呼びに来た少年が問いかけてくる。
「一応、射出されると同時に信号を発信するようになっているけど……」
だから、それをキャッチできれば見つけることが容易でないか。キラはそう告げる。
「とりあえず、その信号の周波数がわかるなら教えてくれ」
それから上に許可を貰って探しに行こう。だから、とイザークが視線を向けてくる。そんな彼に頷き返すと、キラはいくつかの数字を口にした。