星々の輝きを君に

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 宇宙空間へでた瞬間、キラは息を止めた。
「大丈夫だって」
 自分が一緒だろう、とすぐにディアッカは声をかける。
「お前だけは何としても守ってみせるって」
 でないと、自分がカナード達にどんなお仕置きをされるかわからない……とわざとらしいため息をついてみせた。
「でも、兄さん達に、僕の居場所がわかるかな?」
 こう言って、キラは首をかしげる。
「大丈夫だろう。いざとなれば、親父からオーブに連絡を入れてもらう。時間はかかるが、確実に伝わるんじゃないか?」
「……それよりは、直接ラウ兄さんと連絡を取った方が早いけど……」
 ぼそっとキラが呟く。
「ラウさん? ひょっとして、プラントにいるのか?」
 ものすごくいやな予感を覚えつつディアッカは問いかける。
「うん。ザフトにいるらしいけど……」
 カナードと違って自分はそれ以上のことを知らない、とキラは言う。
「心配するな……俺に心当たりがある」
 ものすごく不本意だが、とディアッカはため息をついた。
 まさか、あの時感じたいやな予感というのが当たっていたとは思わなかった……と心の中で呟く。こうなるとわかっていれば、こっそりと本人に確認しておけばよかった、と付け加える。
「そうなんだ」
 そんな彼とは裏腹に、キラは「よかった」と微笑んだ。
「ラウ兄さんなら、絶対カナード兄さんに連絡取れるもの」
 自分が無事だとすぐに伝えてくれるに決まっている、と彼女は続ける。
「そうだな」
 自分が抱いている感情はともかく、キラにとって見れば信頼を寄せている相手が近くにいてくれるのはいいことだろう。
 しかし、とため息をつく。
「イヤミの一つや二つ、覚悟しておかないとな」
 今まで気付かなかった事実も含めて、とディアッカははき出す。
「ディ?」
 どうかしたのか、とキラは首をかしげて見せた。
「疲れたんなら、目を閉じててもいいぞ」
 そんな彼に微笑みかける。
「ありがとう。でも、大丈夫」
 即座にキラはこう言い返してきた。しかし、そう見えないんだよな……とディアッカは心の中で呟く。たんに本人が自覚していないだけなのかもしれない。だが、それはそれで怖いよな、と思う。
「そっか。でも、目を閉じていてくれるとありがたいんだが」
 一応、軍の機密だから……と続けた。
「あ、そっか」
 見ない方がいいよね、確かに……とすぐにキラは頷く。そのまま彼女はディアッカの胸にそっと頭を預けてきた。そのまま目を閉じる。
 次の瞬間、彼女の唇からは寝息がこぼれ落ちた。
 強がっていたものの、やはり、精神的にはかなり負担を強いられていたらしい。もちろん、それは当然なのだろうが。
「さて、と……」
 今後のことを考えれば 彼女にこれ以上の負担をしいるような事は避けたい。
 しかし、艦内ではかなり行動を制限されるだろう。そのフォローをどうするか。
「ま、面倒ごとはイザークに押しつけるか」
 協力をしてくれるといっていたし、と続ける。
「後は……隊長だな」
 本当に彼が自分の知っている《ラウ》ならば、キラのみの安全は確実に保証されるだろう。しかし、そうでなかった場合、どこまでかばえるか。
「まぁ、早々に親父にメールだな」
 彼であれば確実だろう。後はイザーク経由でエザリアを巻き込めばいい。
「キラは何が何でも守らねぇとな」
 それが自分の義務だろう。
「後は、あいつが来ないように気をつけないとな」
 もっとも、この状況でなら、いくら何でも押しかけてこられないだろうが。そう思いながらハッチの中へ機体を滑り込ませた。

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最遊釈厄伝