星々の輝きを君に

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 手早くOSを書き換えていく。
「こんな稚拙なOSで何をする気だったんだ?」
 宝の持ち腐れだろう。さらにそう付け加えてしまった。
『ディアッカ』
 その時だ。イザークが声をかけてくる。
「こっちは終了。お前は?」
『俺を誰だと思っている』
 即座に彼は彼らしいセリフを返してきた。あまりに彼らしくて笑うしかない。
「了解。ニコル?」
 とりあえず、というようにもう一人に声をかけた。
『すみません、もう少し……予想以上に複雑で』
 それに彼はこう言い返してきた。その瞬間、イザークが小さな舌打ちをしたのがわかった。
「仕方がないな。どうやら、こいつらは一機ずつ仕様が違うらしいし」
 そんな彼をなだめるようにディアッカはこういった。
『わかっている!』
 即座にイザークはこう言い返してくる。
『ただ、早々に俺たちが移動できれば、それだけ民間人への被害は少ないだろう?』
 ナチュラルは気に入らないが、民間人まで無用な被害を与える必要はないのではないか。彼はそう続けた。
「だな」
 確かに、それは正論だ。しかし、イザークの口から聞くセリフではないような気もする。だが、それがニコルの何かを刺激したのか。回線越しにキータッチのスピードが上がったのがわかった。
 まぁ、それならそれでいいのか。
『お待たせしました』
 一分と経たないうちにニコルがこう報告をしてくる。
『なら、早々に戻るぞ』
 即座にイザークがこういった。そのまま、彼は自分の機体を移動させていく。ディアッカ達も当然、その後に続いた。
 周囲では、あちらこちらから火の手が阿波っている。
「……おじさん達がいなかっただけましか」
 炎の中に倒れているであろう人々のことを思い出しながら思わずこう呟く。それとも、別の場所で……とも考えてしまった。だとするならば、後でカナードに殺されかねないな、と苦笑する。
「まぁ、そん時はそん時だ」
 甘んじて受け入れるしかない。
 だが、今は……と思いながら何気なく周囲を見回す。
「……マジ?」
 その時だ。工場の外にある通路を見覚えのある色の髪をした少女が走っているのが目に飛び込んできた。反射的にモニターの倍率を変える。まるでそれを待っていたかのように少女がこちらを振り向いた。
「ビンゴかよ」
 あの特徴的な瞳の色を持っている人間を、自分はカナードとキラしか知らない――自分も似たような色の瞳を持っているが、あの二人のそれに比べれば雲泥の差だと思っている――しかし、彼女の傍にいるはずのカナードの姿が確認できない。
 これは、何か厄介な状況にあると判断すべきだろう。
「イザーク! フォローよろ」
 とりあえず、と彼に声をかける。そのまま、自分の機体の方向を変えた。
『ディアッカ?』
 何を、とニコルが呼びかけてくる。
「民間人を発見。ちょっとやばそうだから、手を貸してくるわ」
 そう言いながら、彼はさっさとそちらに機体を向かわせた。
『ディアッカ!』
 慌てたようにニコルが彼の名を呼んだ。
『放っておけ。相手にしても、助けてくれた人間のことを悪くは言うまい』
 不安なら、緊急保護といって連れていけばいい。イザークがそう言ったのは、フォローのつもりなのだろうか。
 どちらにしても、時間が稼げたという事実はありがたい。
 そのまま、少女の傍に機体を着地させる。同時にハッチを開いた。
「キラ!」
 大声で彼女の名を呼ぶ。はじかれたように振り向いた彼女の瞳が涙で濡れていたような気がするのは錯覚だろうか。そう思いながらディアッカはヘルメットのシールドをあげた。

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最遊釈厄伝