空の彼方の虹

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 最後の一機を破壊すると同時に、自分の機体も動きを止めた。
「ミスったな」
 バッテリーの残量がこんなに早くなくなるとは思っていなかった、とムウは呟く。
「これに関しては、モルゲンレーテに何とかしてもらわないとな」
 もう少しわかりやすくなるように、と続ける。
「ともかく、下りるか」
『そのまま、そこで待機していてください。今、バッテリーの交換をします』
 そう続けたときだ。ノーマルスーツの通信機からエリカの声が響いてくる。
「できるのか?」
 ここで、と思わず言い返す。
『できるかどうかのテストも兼ねています』
 この言葉には苦笑しか出てこない。
「その間に新しい敵が出てこないことを祈るよ」
 ムウはため息をつきながらそう言った。
『大丈夫ですよ』
 にこやかな声でそう断言される。
『ミナ様が護衛を手配されていましたから』
 この言葉にムウは思わず「そうきたか」と呟く。
「相変わらずそつがない」
 そして、身内には甘い。そう付け加えた。
 自分もその範疇に含まれていることを喜ぶべきなのだろう。
「全く……一生こき使われそうだな」
 彼女たちに、と付け加える。
 それでも、あの小さな子供達とともに過ごせるのであればかまわない。彼らがそれぞれのゆりかごから自分を見つめてきたときのあの感動は、今でも自分の中に残っている。
 あのとき、あの子供達を守ってやろう。そう思ったのだ。
 そして、その思いが自分の生きる理由だった。
「さて、と……もうひとがんばりしますか」
 こう呟くと、ムウは次の指示を待っていた。

「父上」
 今聞くべきことではないのかもしれない。だが、この機会を逃せば、次はいつ、彼と話しができるかわからない。そう考えると、アスランはパトリックに呼びかけた。
「何だ?」
 周囲の目があるからだろうか。パトリックは無視することなく言葉を返してくる。
「父上がヤマト一家を暗殺させたというのは本当のことなのですか?」
 アスランの言葉にパトリックが目を見開く。
「お前は何を言い出すのだ?」
 そして、即座にこう言い返された。それは当然なのかもしれない。しかし、アスランも負けるわけにはいかないのだ。
「あいつらがそう言っていました」
 だからこそ、真実を確認しなければいけない。アスランはそう言い返す。
「……戯言だ」
 パトリックは吐き捨てるようにそう言ってくる。しかし、一瞬の沈黙が彼の言葉を素直に受け入れることをためらわせた。
「本当ですね?」
 それでも、まだ父を信じたい気持ちが残っている。それは、間違いなく彼が肉親だからだ。
「いい加減にしろ!」
 パトリックが怒鳴りつけてくる。
「今はそのような話をしている場合ではない!」
 連中の言っていることが真実だったのか。彼のその態度からアスランはそう認識をする。
「……そうですか」
 これで、彼らがどうして自分を排除しようとしているのか、わかってしまった。
 自分がパトリックの息子である以上、彼らは自分を許さないだろう。アスランの中に、深い絶望が広がった。


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最遊釈厄伝