空の彼方の虹

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「それにしても、やたらとこちらの情報があちらに渡っているよな」
 どうしてなのか、とカガリが呟く。
「ザフトにも、そこまで詳しくデーターは渡っていないんでしょう?」
 そう言いながら、彼女はラウへと視線を向ける。
「もちろんだとも」
 自分も知らないのだから、と彼は続けた。
「それならば、何故だろうな」
 今回のことも含めて、妙にタイミングがよすぎる。
「うちの使用人を疑っているのかな?」
 ギルバートがそう問いかけてきた。
「そう言うわけじゃなくて……ひょっとして、メールを監視されていたのかなとか」
 何と言えばいいのかわからない。その気持ちが表れたのか、カガリの声は次第に小さくなっていく。
「……プラントのマザー?」
 そんな彼女をフォローするかのようにキラが口を開く。
「あそこなら、全てのデーターを調べられるよ?」
 少なくとも、自分はできる。彼はそう続けた。
「確かに、お前ならできるだろうが……」  他の人間でも可能なのか。カガリはそう問いかける。
「最初から、そのためのプログラムを組み込んでいたら?」
 自由に内容を覗けて、しかも、痕跡を残さない。そんなプログラムが最初から組み込まれていたとするならば、こちらの状況をある程度つかんでいたとしてもおかしくはないような気がする。
 キラはそう続けた。
「そういえば、アスハのマザーにも仕込まれていたな」
 似たようなものが、とカナードが言う。
「本当ですか?」
 自分は知らない。そう思いながらカガリは問いかける。
「お前の家出中のことだからな。キラが気づいて、俺が対処した」
 カナードはそう言い返してきた。
 その言葉で、いつのことかがわかる。
「同じものがここにもないとは言い切れないからな」
 それは、きっと、プラントの基本システムも、モルゲンレーテが開発したものが使用されているからだろう。
「モルゲンレーテにもブルーコスモス関係者が潜んでいたからな」
 セイランのせいで、とカナードは続けた。
「なるほど。それならば、あり得る話ですわ」
 ラクスも納得をしたと言うようにうなずいている。
「仕事の連絡もメールがメインだからね、今は」
 それが裏目に出たか。ギルバートはそう言うとため息をついた。
「だが、暗号がかけられているのではないかね?」
 ラウが疑問を口にする。
「システムにアクセスできる人間であれば、暗号を解読する手段を持っていたとしてもおかしくはないと思いますが?」
 それどころか、その暗号化プログラム自体を作った可能性がある。カナードはそう言い返す。
「まぁ、あくまでも俺の推測ですがね」
 自分はそのメンバーを知らないから。そう彼は続ける。
「それを調べるのは、私達の仕事だろうね」
 ギルバートがうなずく。
「議長のご協力を仰がなければいけないがね」
 彼はそう続けた。
「父も反対はしないと思いますが……」
 しかし、襲い。ラクスがそう言って眉根を寄せる。
「ギナ様達も遅いです」
 キラもそう言って顔を曇らせた。
「何か起きているのか?」
 まだ、終わってくれないのか。カガリはそう言うと小さなため息をついた。


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最遊釈厄伝