空の彼方の虹

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「ロンド・ギナに続き、ロンド・ミナも来るとは……」
 それほどまでに、彼らの身柄をオーブに連れ戻したいのか。パトリックはそう呟く。
 自分が失敗した以上、それを認めないわけにはいかないのだろう。
「本当に、どこで間違えたのか」
 三年前、あの一家を見殺しにしなければ、今頃、プラントはすべての問題を解決できていたのだろうか。それとも、何も変わらなかったのか。
「今更何を言っても無駄だがな」
 ヤマト一家だけではなくレノアも、すでにこの世のものではない。
 謝ることすら、自分にはできないのだ。
 では、どうすればいいのか。
「どうすることもできないな」
 死者には、とため息をつく。ならば、代わりに生きている者達に対して償うしかないのだろう。
 だが、どうすれば償うことができるのか。
「プラントの勝利以外にあり得んな」
 自分にできることはそれだけだ。
「そのためならば、何でもしよう」
 例え、それが間違っていたとしても、自分にできることはそれしかない。
 パトリックが心の中でそう付け加えたときだ。
「失礼します!」
 言葉とともに兵士が一人飛び込んでくる。
「月面基地より地球軍の艦隊が発進したと、報告がありました」
 いずれはそうなるだろうと思っていた。しかし、ここまで早いとは思わなかった、と言うのがパトリックの本音だ。
「航路は?」
 どこで叩くのか。それを決めるためにも、相手の進路を割り出さなければいけない。そう考えて問いかける。
「すでに判明しています」
 しかし、この答えは予想外だった。
「……判明している?」
「はい。オーブからデーターが届きましたので」
 さらに付け加えられた言葉を、すぐに理解することができない。
「オーブから?」
 いったい、何故、彼らがわざわざそんな危険を冒したというのだろうか。
 しかし、今はありがたい。
「そうか」
 では、とパトリックは続ける。
「主立った者達を集めてくれ」
 すぐに対策を話し合わなければいけないだろう。
「了解しました」
 即座に彼は言葉を返してくる。そのままきびすを返すと部屋の外へと出て行った。

 招集命令は当然、ラウの元にも届いていた。
「仕方がない。行ってくるか」
 今、ここを離れるのは不安なのだが、と彼はため息をつく。
「仕方があるまい。今、プラントが危険にさらされれば、私たちだけではなくキラ達の身の安全も確保できなくなる」
 慰めるようにギルバートがこう言ってきた。
「それに、ここには今、カナード君がいるからね。戦力的には問題ないよ」
 おそらく、それを見越してギナが彼をこちらに回したのだろう。それはわかっている。
 しかし、何かが不安なのだ。
「……万が一の時には、頼む」
 ギナ達と合流できれば、後は彼が適切は何段を下してくれるだろう。そうでないとしても、午後にはミナが到着する。その場にはキラも当然、顔を出さなければいけないはずだ。
「わかっているよ」
 任せておきなさい、とギルバートは笑う。
「不本意だが行ってくるよ」
 ため息とともにラウは言う。そのまま、差し回されてきたエレカへとラウは乗り込んだ。


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最遊釈厄伝