「……ぁっ……」
 アスランの指が体内に滑り込んでくる。その瞬間、キラは思わず声を上げてしまう。
 だが、彼の羞恥を煽ってくれたのは、予想以上に響いた自分の声だった。
 とっさにキラは両手で自分の口を押さえる。
「ダメだよ、キラ」
 しかし、アスランの手がそっとキラの手首を掴む。
「声、聞かせて」
 キラの声が好きなんだ……と彼は耳元で囁く。その声がいつものものよりも低いのはどうしてなのだろうか。そんなことをキラはついつい考えてしまった。
「……バカ……」
 それでも、素直に声を出す気になれない。
 頼むから、こっちの気持ちもわかってくれ……という意味をこめて、何とかこれだけを口にする。
「いいよ、バカでも」
 しかし、アスランはふっと笑みを浮かべるとこう言い返してきた。
「ひゃんっ!」
 そのまま、体内にある指をうごめかす。その刺激に、キラの声が跳ね上がった。
「キラのことに関しては、自分でも自覚しているから」
 バカでも何でもいい……と囁きながら、ゆっくりとそして慎重な手つきで刺激を強めていく。
「……アスラン……」
 さらに指を増やされれば、反対にキラの体からは力が抜けてしまう。
「愛しているよ、キラ」
 その上、こんななセリフを耳元で囁かれてしまってはどうしようもない。
「……僕も……」
 好き、といいながら、キラはアスランの唇に自分のそれを寄せていく。
 自分の気持ちを行動で示したかった……というのももちろん嘘ではない。だが、キスをしている間は声を聞かれないですむのではないか、と思っていることもまた事実だ。
 と言うよりは、ラスティから教えてもらった、といった方が正しいのかもしれない。
 何よりも、アスランが自分からのキスを拒むはずがない、と信じていたからこその行動だ。実際、アスランはすぐに唇を重ねてくれる。
「んっ……」
 その感触が、自分を安心させてくれる、と彼はわかっているだろうか。
 うっすらと唇を開いてアスランを誘う。そうすれば、彼の舌がすぐに滑り込んできた。それをキラは自分のそれで出迎える。
 舌先が触れあうだけの刺激から、次第に深いものへと変化していく。
 それとタイミングを合わせたかのように体内を探る指が増やされた。
 一瞬痛みを感じるものの、すぐにその異物感にも慣れる。いや、体の方がこの後にもたらされる快感を期待している、といった方が正しいのか。
 どうなのかな、とは思うものの、その思考はすぐに霧散する。そのまま、キラは行為におぼれていった。

「……あいつらも、今頃楽しんでのんかね」
 ラスティの髪を指先で弄びながらミゲルがこう呟く。
「アスランの方がかなりせっぱ詰まってたから……そうじゃないの?」
 くすぐったいと身をよじりながら、ラスティは言い返す。
「まぁ、その気持ちもわかるんだけどな」
 あの二人はまじめだから、誰かさんのように適当に発散することができないのだろう。しかも、休暇直前の頃のキラの仕事量は自分から見ても尋常ではない、と感じたのだ。ということは、アスランが無理強いができるはずもないだろう、とそうも考える。
「俺が肩代わりしてやれることだったらよかったんだけどな」
 開発関係だった以上、不可能だ……とミゲルも頷いてみせる。
「ひょっとして、今回、手を貸してやったのはそういう事情から?」
 それなりにフォローはしてやっていたが、こんな風に直接手を貸してやることは珍しいじゃないか、とそう思っていたのだ。
「まぁ……下手に移動をすると、疲れがたまるだけだし……だからといってアスランの家じゃゆっくりできないだろう?」
 せっかくの休暇なのに、疲れがたまっては意味がないしな、と彼は笑う。
「……でもさ……」
 にやりと笑いながらラスティは口を開く。
「疲れることをしていたら、結局同じじゃねぇ?」
 こういう機会を、アスランが逃すはずがない。むしろ、今までお預けを食らわされていた分、凄いことになっているのではないか……と思うのだ。
「でも、そのままねられるだろう、今日は」
 途中でお預けを食らうことも、終わった後にいきなりスクランブルがかかることもないから、ゆっくりと休めるのではないか。ミゲルはそう言い返してくる。
「まぁ、それは俺たちも同じだけどな」
 そして、そのまま体勢を変えてきた。
「ミゲル?」
「ということで、俺たちも疲れることしようか」
 あいつらのことはあいつらに任せておけばいいだろう、とミゲルは言ってくる。
「そうだな」
 くすりとラスティは笑い返す。
「時間は有効に使わないとな」
 そして、こう言うと彼にキスを贈った。



久々におまけありです