小さな約束

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 銃弾がヘルメットをかすめていく。
「……予想以上だな」
 抵抗が、とアスランは呟いた。
「そう言っても、いつまでもここで応戦している訳にはいかないぞ」
 ラスティがすぐに言い返して来た。
「わかっている!」
 自分達は何としても目の前の機体を持って帰らなければいけないのだ。
「だが、うかつに出れば狙い撃ちされるぞ」
 まだ地球軍は大勢残っている。数ではあちらの方が有利だろう。
「当たらなきゃいいんだろう?」
 ラスティはそう言って笑った。
「と言うことで、援護よろしく」
「ラスティ!」
 アスランが止めようとする前に彼は飛び出していく。
 当然のように彼は周囲から狙い撃ちをされる。
「あのバカ」
 仕方がない、とアスランはラスティに銃口向けている兵士を次々と狙撃していく。自分に意識を向けていないからか。それ自体は難しくない。
 しかし、だ。
「やはり、人数が多すぎる」
 しかもさらに増援が来ているのではないかと思える。
「ニコル達は成功したようだな」
 だから、こちらだけは死守しようとしているのだろう。
「増援だけは想定外だけど、な」
 小さなため息とともにそう呟くと引き金を引く。だが、カチリと音がするだけだ。
「弾切れか」
 単純だが致命的なミスだ。アスランは顔をしかめながら予備のマガジンを取り出す。
「ラスティ! 残段数を確認しておけ」
 自分がこうなったと言うことは、彼もヤバイのではないか。できれば、その前にどこかに退避してくれればいいが。そう思いながら声をかける。
 だが、それは遅かった。
 銃弾が彼のヘルメットをかすめる。
 いや、かすめたのではない。
「ラスティ!」
 シールド部分から内部に飛び込んだのではないか。
 彼の体が一瞬、宙に浮く。そのまま床にたたきつけられた。
「貴様ら!」
 相手から見れば自分達も同じことをしている、と言う考えはすでにアスランの脳裏にはない。
「よくもラスティを!」
 叫びとともに彼は隠れ場所から飛び出す。そのまま、キャットウォークにいる地球軍の兵士達を狙撃する。
 ラスティのそばに駆け寄ると、彼の状態を確認した。
「……まだ、生きている?」
 シールドは真っ赤に染まっている。だが、かすかに胸が上下しているのが見えた。
 今ならば助かるかもしれない。
 そのためには、少しでも早く味方の元へ移動する必要がある。
「なら、やはり、さっさとあれを奪取して戻るしかないか」
 だが、ここにラスティをこのままおいておくのは危険だろう。
「ラスティ、少し我慢しろよ」
 言葉とともにアスランは安全と思える場所に彼の体を移動させる。
 その時だ。
「裏切り者!」
 頭の上から声が降ってくる。
 裏切り者とは自分達のことか。それとも、と思いながら声がした方向へと視線を向ける。
「……キラ?」
 そこに、自分達が探していた相手の姿を見つけて、アスランは目を丸くした。

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最遊釈厄伝