愛しき花

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 イザークからの報告に、ラウは無意識に眉根を寄せていた。
「ニコル、レイ」
「今調べます!」
 二人は即座にシステムを調べ出す。
「ミゲル!」
「わかっています」
 確認してくる、と彼はきびすを返そうとする。
「カナード君を連れて行きたまえ」
 さらにそう付け加えた瞬間、彼の動きが止まった。
「あいつも、ですか?」
「そうだ。この艦の人員の顔は全て覚えているそうだ」
 犯人が何者か、カナードならば判断できるだろう。そう続ける。
「そうなんですか?」
 振り向きながらミゲルが問いかけてきた。
「らしいよ。まぁ、彼の協力もあったからだろうがね」
 言外にムウのことを示唆する。ミゲルもそれはわかったのだろう。小さく頷いている。
「さすがにあれを表に出すわけにはいかないからね」
 まだ、と続けた。だから、カナードに任せるしかない。そう続ければ、ミゲルは仕方がないというようにため息をつく。
「仕方ないですね。声をかけていきます」
 この言葉にラウは小さく笑う。どうやら、本気でカナードのことが苦手らしい。
 いったい、何をしたのか。そんな疑問もわき上がってくる。
 後で確認をすればいいのか。その方が楽しいそうかもしれない。そう心の中で呟く。
 しかし、今はこちらを優先しなければいけないか。小さなため息とともに視線を戻す。
「ディアッカに連絡。軍人達の所在を改めて確認させろ。それと、イザークにこちらに戻るよう指示を出せ」
 完全に掌握しないと厄介なことになる。その考えは間違っていないはずだ。
「イザークにはこちらに来るように指示を出せ」
 人では多い方がいい。しかし、全員を戻せばあちらの警備が手薄になる。
 キラとかカガリがいる以上、アスランを残した方が彼女たちも安心できるはずだ。
 そう判断をして指示を出す。
「わかりました」
 即座に通信兵がそれをヴェサリウスへと告げたようだ。
「しかし、本当にしつこいね、ブルーコスモスも」
 まだネズミを潜り込ませていたとは、と口の中だけで付け加える。
「まぁ、いい。まだ潜んでいるならかり出すまでだ」
 そう言ってラウは笑う。
「隊長」
 彼の耳に別の隊員の声が届く。
「何かね?」
 即座に視線を向ける。
「爆発物が確認されたそうです」
 その言葉に眉根を寄せた。
「本気でこの艦をどうしようと考えているのか、わからなくなってきたね」
 それとも、とラウは続ける。
 全てのデーターを引き上げたところで何もなかったことにしようとしているのか。
 どちらにしろ、自分達にとってはあまり嬉しい状況ではない。
「これからが本番と言うことかな?」
 それはそれで楽しいかもしれないな、とラウは呟いていた。

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最遊釈厄伝