愛しき花

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 自分達は微妙に世界から切り離されているような気がする。それが自分のためだとわかっていても、どこか疎外感を感じてしまう。
 そう考えてはいけないのかな。
 キラがそう心の中で呟いたときだ。端末が来客を告げる。
「誰だ?」
 こう言いながら、シンがすぐに端末へと手を伸ばす。
『キラ、いいか?』
 スピーカーから帰ってきたのはアスランの声だった。
「キラ?」
 どうする、とシンが問いかけてくる。うなずき返せば、彼はすぐにドアのロックを外す。
「こんな時間に悪かったな」
 言葉とともにアスランが入ってくる。
「キラに渡したいものがあるんだが……内容も確認したいんだ」
 悪いな、と彼は続けた。
「だれから ?」
 キラはそう問いかける。
「ギナ様からだ」
 アスランがため息とともに告げた名前に、キラも苦笑を返す。
「ギナ様なら、僕がどこにいても荷物を届けてくるよね」
 確かに、と頷いてみせる。
「荷物というか……データーだ」
 アスランはそう言いながらディスクを差し出してきた。
「中を確認しようとしたが、俺には不可能だった」
 それも役目だから妥協してくれ、と彼は続ける。
「ギナ様からだから、当然かな」
 下手に中を確認しようとすると、そのパソコンのシステムが壊れることもあるし。キラはそう付け加える。
「それって、キラが作ったウィルスだろう?」
 シンが即座にこんな突っ込みを入れてきた。
「頼まれたからね」
 いけなかった? とキラは言い返す。
「いや、そう言うわけじゃないけどな」
 らしいな、と思っただけ。シンは苦笑とともにこう言った。
「なるほど。キラのプログラムだったのか」
 アスランはアスランで納得している。それはどうなのだろうか、と思わずにいられない。
 しかし、それよりも先に中を確認しないといけないような気がする。そう判断をして、キラはパソコンへと向かった。
 立ち上がると同時に、データーカードを差し込む。
 次の瞬間、モニターに意味のないアルファベットの列が映し出される。
「何だよ、これ」
 シンがあきれたように呟く。
「簡単なアナグラムだよ」
 正しい形に並べ替えれば文章になる。
 キラはそう言いながら手早く文字を確認した。そして、それが記憶の中のどの文章に使われているものか推測する。
 たぶんこれだろう。思い当たったものを打ち込む。
【 Humpty Dumpty sat on a wall.
  Humpty Dumpty had a great fall.
  All the king's horses and all the king's men
  couldn't put Humpty together again.  】
 以前教わった古いなぞなぞだ。
 次の瞬間、パスワードを打ち込む画面が表示される。そこにためらうことなく《Egg》と打ち込む。
 次の瞬間、ファイルが展開された。
「……そうなっていたのか」
 アスランが感心したように呟く。
「確認する?」
 その彼を見上げながらキラは問いかけた。
「そうだな」
 苦笑とともにアスランは頷く。
「とりあえず、キラが一通り確認してくれ」
「わかった」
 こう言い返すと、キラは早速ファイルの中身を確認し始めた。

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最遊釈厄伝