秘密の地図を描こう

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 目の前にガイアが立ちふさがっている。そのカラーリングから誰が操縦しているものか、わかってしまう。
「……どうして、邪魔をしてくれるんですか?」
 アスランは思わずこう問いかける。
『聞かなければ、わからないか?』
 それにバルトフェルドはこう言い返してきた。
「わかりません」
 想像は付いているが、と心の中だけで付け加える。
『お前……それが俺に通用すると思っているのか?』
 あきれたように彼は言葉を口にした。
『何年、つきあってきたと思っている?』
 そう言われても、とアスランは思う。
「それでも、俺にはやらなければいけないことがあります」
 今は、と言い返す。
「キラやあなた方の邪魔をするつもりはありません。でも自分ザフトが必要な状況だってあるはずです」
 ニコルでもいいかもしれない。しかし、彼はまだ、表に出ない方がいいような気もする。
「あいつに恨まれるのは俺だけでいいですし」
 万が一の時に手を汚すのは、と続けた。
『アスラン?』
「俺なら、今更ですむでしょう?」
 カガリにいやがられるのも、キラにあきれられるのも……と苦笑を浮かべる。
「何よりも、キラのそばにいる人間にはさせられないと思いますが?」
 彼らにそうさせたと気に病むのは、間違いなくキラだ。だから、と続けた。その点、自分はアークエンジェルに戻れるかどうかわからない。離れていれば、少しはマシではないか。
「口にしたことの責任はとるつもりです」
 その表情のままさらに言葉を重ねた。
『吹っ切れたようだな』
 バルトフェルドがそう言ってくる。
「それ以外に何も残らなかっただけです」
 キラを守る手段が、とアスランは言い返す。
『だが、それでは通せないな』
 しかし、こう言われるとは予想していなかった。
「何故ですか?」
 きちんと理由を説明してほしい。アスランはそう言う。
『まぁ、当然の要求だな』
 それ以前に、自分はアスランを撃墜しないといけないのではないか。そう考えていたのだが、と彼は付け加える。
 あらかじめ覚悟していたとはいえ、面と向かってこう言われるとは思わなかった。
『今、お前が行けば、キラの集中力が切れる。それがどれだけ危険なことか。わからないはずがないだろう?』
 だから、自分もここにいて雑魚をたたき落としているのだ。彼はそう言う。
『忌々しいが、今のキラにとってそばにいても気にならないのは、クルーゼの奴だけらしい』
 そばにいたからか、と彼は続ける。
『まぁ、それでもキラが自由に動けるならいい差。あいつの負担が減ると言うことだからな』
 だから、自分は妥協できるのだ。
「同じことを自分にもしろと?」
『作戦上、必要だからな』
 割り切るのが軍人だろう。そう彼は言い返してくる。
『そう言うわけだから、キラからSOSが来ない以上、ここは通せないな』
 自分達も近づけないのだから、と彼はさらに続ける。
「……不本意ですが、しかたがりませんね」
 キラを守りたいのであって、邪魔をしたいわけではない。アスランは自分に言い聞かせるように言葉を口にする。
『終わったら、お前の言葉は教えてやるよ』
 その上で、キラが『会いたい』と言うかどうか。それは別の問題だ。
 それは仕方がないことだ。
 そう言われても反論できないことを自分はしたのだから。
「……わかりました」
 それでも、自分が彼らを守りたいのだ。だから、とアスランは心の中で呟いていた。


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