秘密の地図を描こう
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いずれ、何らかの方法で接触をとってくるだろうとは思っていた。しかし、これは予想外、と言っていいのだろうか。
「アスラン、か」
微妙にカガリの表情が強ばているのは気のせいではないだろう。
「まさか、ミリィがいたなんて」
キラはキラで別のことに驚いているらしい。
「家を出た、というのは聞いていたけど」
ディアッカ経由で、と彼はさらに続けた。
「フリーのカメラマンだそうよ。しかし、ディアッカ君経由?」
「僕から直接連絡すると、アスランにばれるかなって思って……ディアッカはディアッカでミリィに連絡を取る口実がほしかったらしいし」
ふられたって本当なのかな、と彼は首をかしげている。
「ミリィはそう言っていたぞ」
カガリはため息とともにそう言い返す。
「ふぅん……でも、ディアッカはあきらめてないようだよ?」
まだ、とキラは口にする。
「まぁ、それは本人の勝手だからな」
それにしても、とカガリはため息をつく。
「どうする?」
会いにいくのか? と誰とはなく問いかけた。
「ミリィに何かするとは思わないけど……」
しかし相手はアスランだ。全くないとは言い切れない。キラはそう言ってため息をつく。
「そうだな。アスランだからな」
やりかねない、とカガリもうなずいて見せた。
「会いにいくしかないけど……」
「ならば、ミゲルにでも連絡を取っておくかね?」
いざというときにアスランを確保してもらえるように、とラウが口を挟む。
「我々は下手に動けないだろうしね」
「確かにそうかもしれないな」
それにバルトフェルドもうなずいてみせる。
「アスランの指定がお前とカガリだけである以上な」
本当に何を考えているのか、と彼は続けた。
「プラントに行ったのが間違いだったようだね、彼は」
困ったものだ、とラウは言う。
「否定できないな」
ここまで執着がひどくなっているとは思わなかった、とバルトフェルドも顔をしかめる。
「とりあえず、顔を見て確認しないとな」
カガリが低い声でそう言った。
「カガリ?」
「殴るかどうするか。それから決める」
ミリアリアをだしに使ったことは許せないから、と彼女は続けた。
「そうですわね。カガリにはその権利がありますわ」
ラクスも微笑みながら同意をしている。
「こういうことなら、ニコルにも来てもらえばよかったかな?」
お説教してもらえただろうに、とキラは呟く。
「仕方がないね。あちらにも連絡だけしておけばいい」
おそらく、すぐにこちらに来るだろう。その後のことは彼に任せておけばいい。
「近いうちにギルバートもこちらに顔を出すそうだしね」
いろいろな意味で、アスランにはお仕置きできると思うよ? と続けた。
「楽しみですわ、いろいろと」
そう言う彼女は彼女なりに何かを知っているのだろう。
「相変わらず怖い方だ。いろいろな意味で」
思わずこう呟いてしまう。
「俺から言わせれば、そんなラクスと平然とつきあっているキラも同じようなものだがな」
苦笑とともにバルトフェルドがささやいてきた。
「まぁ、キラの方が理由がわかりやすいが」
とりあえず、問題はアスランだな……と彼は言う。それにラウもうなずいて見せた。