そのまま体重をかけられて、キラの背がシーツに沈む。その衝撃にキラはかすかに眉をひそめた。だが、アスランはその事実に気づいてはくれない。 「んっ……」 するりっとシャツの裾から忍び込んできた彼の指が、ゆっくりとキラの肌を刺激し始める。 「……あっ、んん……」 唇を解放されると同時に、室内にキラの声が響く。 それは甘いというのにはまだほど遠い、どこか硬さを含んだ声だ。それでもアスランには十分甘く感じられるらしい。さらに刺激が強くなっていく。 「やっ!」 いつの間にか身にまとっていたシャツの前がはだけられている。そして露わになった、まだ少年のままの胸にアスランの唇が落ちてきた。その瞬間、キラは思わず驚愕の声を上げてしまう。 「本当にいやなら……やめて上げるよ?」 アスランが視線だけをキラの顔へと向けながら問いかけてきた。その言葉をキラは首を横に振って否定する。 「……じゃ、どうしたの?」 教えて……と付け加えながら、アスランはゆっくりと移動してきた。そして真上からキラの瞳を覗き込んでくる。 「……だって……くすぐったい……」 それがいやだ……と恥ずかしさに顔が熱くなるのを感じながら口にした。 「そう言えば……キラ、くすぐられるのダメだったか」 そんなのじゃないんだけどな、とアスランがあきれたように呟く。 「……ごめん……」 アスランの言葉に、キラは今この場で消えてしまいたいと本気で思ってしまう。 「誰も怒っていないよ」 これからゆっくりと教えてあげるから……といいながら、アスランがまたゆっくりと指を滑らせ始める。 「あっ、アスラン?」 そのまま乳首を押しつぶすように刺激された瞬間、キラの唇から切羽詰まったような声が飛び出した。 「大丈夫。いい子だから、俺に任せて」 今のキラを見せて……と囁かれれば、キラは彼に逆らうことができなくなってしまう。 それでも恥ずかしいというように顔を背けるキラに、アスランは小さな笑いを漏らす。 「愛してるよ、キラ」 囁きと共に、アスランの指はさらに大胆になっていく。いや、大胆になったのは指だけではなく舌や唇もか。 「あっ……んっ……」 そうして、丁寧にキラの弱みを暴いていく。 「……ふぁっ……あぁ、ん……」 一体どうしてそこを刺激されればこんな風に甘い声がこぼれ落ちてしまうのか、キラにはわからない。わからないからこそ恐怖すら感じてしまう。 だが、その感覚を与えてるのはアスランだ。 その一点だけがキラを『この場から逃げ出す』という考えから押しとどめていく。 「……アスラン!」 だが、そのキラの決意も、アスランの手によって下半身を暴かれたところで挫けてしまった。 「ダメだよ、キラ……もう止めてやれない」 慌てて逃げ出そうとするキラの腰を掴むことで、その行動を押しとどめると、アスラン口にする。その声がどこかかすれているように感じたのは、キラの気のせいだろうか。 「やだ……恥ずかしいってばぁ……」 こんな風に全てをアスランの目に晒すのは……とキラは言外に付け加える。 素肌を風に晒している自分と違って、アスランはまだ襟元すらくつろげていないのだ。 視線でそのことを訴えれば、アスランが困ったような笑みを浮かべる。 「ごめん、キラ……がっついているのかな、我ながら」 こういうと同時に、アスランは器用に片手で服を脱ぎ始めた。そうすると、彼の鍛えられた体がキラにも見える。それは、貧弱とも言える自分とはまったく異なっているもので……3年という時間だけではつかないほどの差が見て取れた。 そのせいだろうか。 キラはアスランの体から目を離すことができない。 「どうしたの? 俺の体、そんなに気になる」 キラの視線に気づいたアスランが小さく笑い声を立てながらこう問いかけてきた。 「だって……ずいぶん違う……」 昔と……とキラは呟くように答えを返す。 「あれから、俺にとっては7年が過ぎたからね」 囁きと共にアスランが再び体を重ねてきた。素肌に直接感じる熱に、キラはほっとする。そのぬくもりだけは、記憶の中のものと変わらないと思えるからだ。 「でも、キラはあまり変わっていない。俺としては嬉しいけど」 俺の知っているキラだから……と言う言葉と共にアスランは行為を再開する。 「……ぁっ……」 今までよりもその動きをリアルに感じてしまうような気がするのは、キラの気のせいだろうか。 「悦くなってきた?」 些細な反応の違いすらアスランにはわかってしまうのだろう。少しだけ喜びを滲ませた声で問いかけられる。 「……アスラン……」 怖い、とキラの唇がそれに答えを返す。 「俺だよ、キラ。こうしてキラに触れているのは、俺だ」 だから怖がらないで……と付け加えられた言葉にキラは何とか頷いた。そして、そのまま堅く瞳を閉じる。 「キラ」 アスランの声が耳の直ぐ側で聞こえた。同時に、彼の吐息が首筋をくすぐる。 キラは腕を持ち上げると初めて自分からすがるように自分を組み敷いている相手の首へと回した…… 隠す必要はないような気もしますが(^_^; |