濡れた髪をそっと拭いてやる。そうすれば気持ちいいのだろう。キラは目を細めている。 その表情を見ているうちに、ふっとイタズラ心がわき上がってきた。 すいっと首を伸ばすと無防備に開かれている唇に自分のそれを近づけていく。 その気配に気付いたのだろう。キラが目を開けた。そんな彼に向かって、アスランは微笑んでみせる。 次の瞬間、そのまま彼の唇に自分のそれを重ねた。 直ぐに離れれば、ぎゅっと目を閉じているキラの顔を間近で眺めることが出来る。 「本当に……」 そういう可愛い顔をされると、抑えが効かなくなるだろう……とアスランは苦笑を浮かべた。 それが自分勝手な言葉だと言うこともわかっている。 でも、ここ数日、忙しくて彼の肌に触れていない。 何よりも、自分の心が無条件で癒しを求めているのだ。 「キラ。キスしていい?」 触れるだけではなく、もっと深いのを……とアスランは問いかける。その言葉を聞き終わった瞬間、キラの頬が真っ赤に染まった。 「ダメか?」 それでも、アスランはさらに言葉を重ねる。 キラの頬がさらに赤くなる。だが、彼は直ぐに小さく頷いて見せた。 「好きだよ、キラ」 愛してる、と囁けば、彼はわかっているというように微笑んだ。その微笑みを奪うかのようにアスランは唇を重ねる。 うっすらと開かれた唇のすきまから、舌を滑り込ませる。その先端が、おずおずと出迎えてくれたキラのそれへと触れた。その瞬間、キラのそれが奥へと逃げ込んでしまう。 追いかけようとしても、今の体勢では辛いかもしれないな。アスランはそんなことを考える。 キラは自分の胸に寄りかかればいいかもしれない。 しかし、自分はそんなキラを支えつつキスをしなければいけないのだ。背後からのしかかるようにキスをしかけたのは自分だから文句は言えないのだけれど、やっぱり物足りない。 だから、とアスランはキラの体をベッドへと横たえる。 唐突とも言えるその行動に、キラが目を丸くしながらアスランを見上げてきた。 そんな彼に微笑みかけながら、アスランは体勢を整える。 「いい?」 そのまま、そっとキラが身に纏っているガウンの紐に手をかけた。 一瞬、ためらうようにキラが視線を彷徨わせる。 何度もこうしているのに、まだ恥ずかしいのだろうか。 それとも、何か引っかかることがあるのだろうか、とアスランは思う。 「キラ」 だからといって、今更、やめられるわけがない。確認するように彼の名を呼べば、キラは小さく頷いてみせる。 それでも、少しでも羞恥心から逃れたいのだろう。アスランの首に両腕をからめてきた。 「好きだよ、キラ」 小さな笑いと共にアスランは彼の首筋に顔を埋める。そして、滑らかな肌に唇を這わせた。 軽く吸い上げて、自分の印を刻む。 その瞬間、キラが息を詰めたのがわかった。 しかし、嫌がっているわけではない。 それは、彼の肌が次第に熱を帯びてきたことからでもわかる。 キラの息が次第に荒くなっていく。 比例するようにアスランの首筋に回れた腕に力がこもっていく。 そろそろ大丈夫だろう。そう考えて、アスランはキラのガウンの紐をほどいた。 次の瞬間、彼の肌を滑るようにシーツの上へとそれは広がった。そうすれば、キラの中心が緩やかに頭をもたげているのがわかる。 「気持ちいい?」 そこを避けて、アスランは太ももに手を置く。そして、ゆっくりとなで上げた。 びくんとキラの腰がはねる。 「キラ」 教えて、と口にしながら、アスランはキラの左胸へと手を添える。そうすれば、普段よりも早い鼓動が伝わってきた。 キラの顔をのぞき込めば、快感のせいか、目が潤んでいる。 「キラ」 いい? とそれでもまた問いかけてしまうのは、その声が聞きたいからだ。 「教えて?」 無理を強いては逆効果だ。それは、カガリとのやりとりだけでもわかっていた。いや、それを見なくてもアスランは知っている。それでも、こう聞いてしまうのは、自分のワガママなのだろうか。 「キラ」 お願いだから、とアスランはさらに言葉を重ねる。 そうすれば、キラの唇が小さく震えるのが見えた。それが『いい』と綴っている。 今はそれだけで十分だ。 その思いのまま、アスランはキラへの刺激を強めていった。 |