「……んっ……んんっ!」 声を漏らしたくない、と思っているのだろう。キラは必死に唇をかみしめている。 そんな彼の姿は、本当に扇情的だ。 こんな状況なのに、そんなことを考えてしまう自分が嫌だ、とアスランは思う。それでも、目の前のキラから視線を離すことができない。 そんな自分が浅ましいともアスランは感じていた。 「ラスティのやつ……ノリノリだな……」 ミゲルがため息をつきながらこう口にする。 「俺相手よりも楽しんでいるぞ、あいつは」 キラのそれを口に含みながら、ラスティはキラの胸に指をはわせていた。 その刺激がいやなのだろうか――それとも、感じてしまう自分が嫌なのか――キラはそんなラスティの頭を引きはがそうとしていた。 「しかし、マジで色っぽいな、あいつ」 それがどちらを示しての言葉なのか。あえて確認しなくてもわかってしまう。 「……ミゲル、お前……」 キラに欲情するんじゃない! とアスランは心の中で付け加える。そんなことをしていいのは自分だけだ、とも。 「安心しろ。俺だって、そんな怖いことはできないって」 ただ、本当に色っぽいんだから仕方がないだろう、と彼は告げる。 「ひぁっ! やだ!」 その時だ。 キラの声が二人の耳をたたく。 慌てて視線を向ければ、ラスティがキラの先端に舌先をねじ込もうとしている光景が目に飛び込んでくる。 確かに、あれは相手を感じさせるには友好的だ。 だが、キラはあの行為を未だに苦手としている。アスランとしているときですらそうなのだから、他の相手ではなおさらなのではないか。 「あいつは……」 それを見て、ミゲルが小さく呟く。 「……ミゲル! 放せ!!」 アスランはうなるように相手に告げる。しかし、彼の腕から力が抜けるようなことはない。逆に、体重をかけられてしまった。 その間にもキラはさらに追い上げられているようだ。 「や、やめ……ってば!」 せっぱ詰まったような声が周囲に響いている。 「だから、いってもいいって」 我慢するなよ、と囁きながらも、ラスティは舌先でキラのそれを刺激していた。 それに、キラの腰が大きくうねっている。 だが、キラは限界を迎えてもそれを解放したくないらしい。大きく首を横に振りながら、必死に限界を引き延ばそうとしていた。 「キ〜ラ? 今日は強情だね」 この前は、もっと素直だっただろう、とラスティはいいながらも口だけではなく指までもそこに絡めている。 「……や、めてってば……」 キラが荒い息の下からこう告げた。 「今やめたら、つらいのはキラの方じゃん」 だから、一回いっちゃえよ……と、ラスティは言葉を重ねる。それでもキラは首を横に振るだけだ。 どうしてここまでキラは我慢するのだろう。 自分が同じような刺激を加えたときにはあっさりと達してくれるはずなのに、とも。 そこまで考えたときだ。 アスランはある可能性に気が付く。 自分が見ているから、キラは我慢しているのだろうか。 そうなのだとしたら、今すぐにでもラスティからキラを取り戻したい、と思う。だが、ミゲルの腕がそれを邪魔してくれる。 普段は、この技量が頼もしいと思えるのに、今は忌々しいとしか感じられない。 「……まぁ。いいけどな。その分、俺も楽しいから」 キラの可愛い姿を長く楽しめるから……と付け加えるラスティも、思わずぶん殴りたくなってしまう。これが敵であれば、無条件で殺してやれるのに、とまで思ってしまう。 同時に、アスランは快感を必死に耐えているキラに欲情している自分も自覚している。 今すぐにでもキラを組み敷いて、自分の欲望を打ち込みたい。 その思いで、アスランはじりじりと身を焼かれるようだ。 「……ラスティ……あとで覚えていろよ……」 それを少しでもはき出したくて、アスランはこう呟く。 「え〜〜! 何でぇ?」 それしっかりと聞きつけたのだろう。ラスティがこう言い返してきた。 「後ろには触ってないぞ!」 だから、そう言う問題じゃないというのに……とアスランは思う。しかし、それを今口にしても意味はないだろう。それよりも優先しなければいけないのはキラの方じゃないか、と思う。 「キラ……俺は、ここにいるから……」 だから……とアスランは彼に声をかける。 「ちゃんと、見ていてやるから……」 だから、いってもいいよ……と告げればキラの体から力が抜けた。 そのタイミングを見計らっていたのだろうか。ラスティがキラのそれをきつく吸い上げる。 「ひっ! ひ、あぁぁぁぁ!」 次の瞬間、室内にキラの甘いと言っていい声が響き渡った。だが、それはアスランの耳には微妙に痛ましいものとして届く。 「……キラ……」 いくら何でも、やっぱりこれはやりすぎだ、とアスランは心の中で呟く。だが、その実、今のキラの声と表情で自分が達してしまったと言うことの言い訳なのかもしれない。 ともかく、あとでキラとともにラスティとミゲルをぶん殴る。 アスランはそう決意をしたのだった。 と言うわけで、かなりぬるいですが(苦笑)裏に持って行くほどではないとは思っていましたが、さすがに状況が状況でしたので、隠しに。難しくはないと思うのですがね(^^; |