「アスラン、何?」
 自分の上に覆い被さってきたアスランに、キラはこう問いかける。
 そうすれば、彼は一瞬、困ったような表情を作った。その次には、何か悩んでいるような表情になる。
「アスラン?」
 どうかしたの? とささやきながら、彼の頬に手を添えた。そうすれば、アスランは体をぶつけるようにしてキラに抱きついてくる。
「重いよ?」
 もっとも、それ以上に彼のぬくもりを感じて『うれしい』と思っている自分がいることにキラは気づいていた。だから、遠慮なくその背に腕を回す。
「……キラ、お前……」
 そんなキラの仕草に促されたのだろうか。アスランは口を開く。
「その……ラスティと……」
 この後の言葉はキラの耳には届かない。だが、アスランが何を言いたいのかキラにはわかってしまった。
「やっぱり、そう言うことをしたんだな!」
 視線を泳がせたキラの態度から、アスランはこう判断をしたらしい。それはある意味間違っていないから、キラとしては問題なのだ。
「一応、僕だって男だしさ……自分でするよりは、お互いに処理した方が気持ちいいし……でも、最後まではしていないからね!」
 その程度は、アスランだって経験済みだって聞いたし……とキラは口にする。
「……それは、ラスティのセリフ?」
 アスランが、どこかおそるおそるといった口調で問いかけてきた。
「違うの?」
 自分の時は、ミゲルがそれなりに牽制してくれたから何もなかったけど、アスラン達の場合は年齢が近いから……とキラは首をかしげて見せる。
「……嘘だよ、そんなの……ニコルも同室だったんだ。できるわけないじゃないか」
 ニコルにばれたら何を言われるかわからないだろう……とアスランはキラに体重をかけてきた。
「ミゲルだけじゃなくて……ラスティもぶん殴らないと……」
 人をだましてくれたんだから……とキラは付け加える。
「それも、ミゲルの入れ知恵だろうね」
 ようやく衝撃をやり過ごしたのだろう。アスランはかすかに体を浮かせた。そして、できた隙間で彼の腕が動き始める。
「……アスラン?」
「久々だから……キラを確かめさせて?」
 何をしているのかと問いかける前にアスランがこういってきた。
「馬鹿」
 それは自分も同じだ、とキラは言い返す。そして、自分から進んで、彼の唇にキスを送る。
「それも……ラスティに教わったの?」
 キラの服の下に手を滑り込ませながら、アスランがさらに囁いてきた。
「ちがう、よ……僕がしたくなっただけ……」
 考えたら、戻ってきてからまだ、キスもしていなかったから……とキラは付け加える。そう言えば、アスランは一瞬目を丸くした。だが、すぐにうれしそうに笑う。
「なら、俺もがんばらないとね」
 キラの服を脱がせながら、アスランは彼の肌にキスを落とした。そのたびに小さく吸い上げてくる。
「……あっ……」
 小さな痛みが即座に快感に変わった。そのたびに、キラの肌が震える。
「アスラン……」
 しかし、それだけじゃ物足りない、というのも事実だ。もっと直接的な刺激がほしい、とキラは思う。
 しかし、それを口に出すのは恥ずかしい。
 もちろん、そうした方がアスランが喜ぶのではないか、とはわかっている。ラスティにもそう言われたのは事実。だが、まだそこまで大胆になれないのだ。
「……どうした?」
 アスランが動きを止めるとこう問いかけてくる。その口調がどこか意地悪に聞こえるあたり、彼にもキラの今の状況がわかっているのではないだろうか。そう考えれば悔しくなってしまう。
 だが、今の状況を我慢しきれるか……というと答えは《否》だ。
 キラは一瞬唇をかむ。
 そんなキラをからかうかのように、アスランの指が胸の飾りを押しつぶした。
「ひぁっ!」
 キラの唇から、思わず甘い声が漏れる。
「教えてくれないと、わからないよ?」
 その反応に満足をしたのだろうか。アスランはさらにかすめるだけの刺激を送ってよこす。
「ね、キラ……教えて?」
 そうしながらもアスランはさらにキラの胸に刺激を加えてきた。
 そんな些細な刺激ですら、キラの中心に熱を集めるには十分だ。しかし、それではじけられるほどのものではない。
「もっとしっかり……さわって?」
 そして、もっと気持ちよくしてほしい、と泣きそうな声でキラは付け加える。
「キラが望むなら、すぐにでも」
 この言葉にアスランが満足そうな表情を作ったのがわかった。しかし、それをとがめる前に、彼の方が行動を開始してしまう。
「あぁっ!」
 胸ではなく、もっと下――熱が集まっている場所に、アスランの舌がからみつく。
 まさか、そこに直接触れられるとは思っていなかった。いつもはもっと他の場所を刺激されてからなのに、とキラは目を丸くする。
「明日、起きれなくなったら大変だからね。今日は手加減をしてやるよ」
 まずは、一回、いかせてあげる……といいながら、アスランはそこに刺激を加えてきた。 「あっ……あぁっ!」  その刺激に、声を抑える気にはならない。キラは、唇から次々と甘い声を漏らす。
「……んんっ……ぃい……」
 アスランの髪に絡んだ指が、さらに彼の頭をそこに押しつける。
 彼でなければ、ここまで感じられないのではないか。
 そう思いながらも、キラは快感を享受する。
「かわいい、キラ……」
 アスランの声もまた、かすれてきた。それは、キラの反応で彼も興奮してくれているからなのか。だとしたら、うれしいのだが……とキラは心の中で呟く。
「だから、もっと乱れたところを見せて?」
 敏感な先端に、舌をねじり込まれて、キラは大きくのけぞる。そのまま、彼の口の中に欲望を解き放ってしまった。
「……あっ……」
 あまりにあっけない自分の反応に、キラは思わず信じられないというように声を漏らしてしまう。
「そんなに、よかった?」
 キラに向かってアスランがこう問いかけてくる。それにうなずき返せば、彼はうれしそうに笑う。
「なら、次は俺の番だね」
 キラの中にはいっていい? と問いかけてくる彼に、キラは自分の両足を少しだけ広げることで了承の意を伝えた。




裏にしようかどうしようか悩んだのですが……このくらいであれば妥協範囲でしょうか(^^;
と言うわけで、いちゃいちゃシーンですね。何か、久々に書いたような気がします。