「あっ……」
 一体何が引き金になったのだろうか。
 それを考えようとしてキラはそうそうに放棄をする。
「……ムウさん、それ……」
 やめて欲しい、とキラは訴えた。
「どうした? 気持ちいいだろう?」
 しかし、フラガの指はさらに手の中のそれにきつい刺激をくわえてきた。そうすれば、さらにとろりとした露が、その先端からこぼれ落ちる。
「それとも、きついのか?」
 ふるふると首を振るキラの耳に唇を寄せると、フラガはこう問いかけてきた。それにキラは小さくうなずくことで答えを返す。
「……自分でしていなかったのか」
 そんなこと、考えたこともなかったし、欲したこともなかった……とキラは思う。フラガの存在が自分の傍らから失われてから、と言うもの、全ての欲求が自分から抜け落ちてしまったのではないか。そう思えるほどだ。
「……だって、ムウさんが……」
 いなかったから……とキラは吐息の中でこう囁く。
「あんまり、可愛いことをいうんじゃないって」
 手加減してやれなくなるだろう? とフラガは低い声で囁いてくる。
「……ひぁっ!」
 次の瞬間、フラガの手の動きがさらに激しくなった。そのまま、キラはすぐに頂点まで押し上げられる。
「あっ! あぁっっ!」
 耐えるまもなく、キラはフラガの手の中に欲望をはき出してしまう。
「ずいぶんといっぱい出たな」
 それを確認して、フラガがふっと微笑んだ気配が伝わってくる。それに、キラは必死の思いでまぶたをあげて彼を見つめた。
 そんなキラの視線に気が付いたのだろうか。
 フラガは笑みを深めると、キラの残滓でぬれた手を口元へと引き寄せる。そして、舌を伸ばしてそれをなめ取った。
「ムウ、さん……」
「坊主の味、だよな。ちょっと濃いめだが」
 満足そうにこう囁かれて、キラはどうすればいいのかわからない。思わず顔を背ければ、フラガがさらに笑い声を立てたのがわかった。
「本当、可愛いよな、キラは」
 こう囁きながら、フラガはキラの体をまた自分の方へを引き寄せる。そして、ぬれたままの指で、後ろを拓こうと手を伸ばしてきた。
「ふぁっ!」
 忘れかけていた快感が、そこからキラの全身を包み込む。
「そう、イイコだ。そのまま力を抜いているんだ」
 言葉とともにフラガの指が奥へと滑り込んでくる。その刺激に、キラは反射的にフラガの指を締め付けてしまう。だが、すぐに彼の言葉を思い出して力を抜いた。
「そうそう。上手だよな」
 こう言いながら、キラの頬にキスを落としてくれる。そんな仕草も、昔のままだ。
「……ムゥ、さぁん……」
 甘えるように彼の名を呼べば、フラガは困ったように眉を寄せる。
「久々だからな。ちゃんと準備をさせてくれって」
 でないと傷つけてしまうだろう? と彼は囁いてきた。
「でも……」
「イイコだから。ちゃんと俺をやるって」
 いや、と言いたくなるくらいな……と付け加える彼に、キラは渋々ながらうなずいてみせる。そのご褒美は深いキスだった。