案の定、地上に降りた瞬間、ダコスタ達から手荒な関係と祝福を受けてしまった。
 もっとも、流石にキラは女性だからだろう。あくまでもそれを受けたのはミゲルだけだったが。
 だが、それに関しては文句はない。
 お互いに生き残っているからこそ、そんなことも出来るのだ。
 それに、祝ってくれているのは間違いない。だから、と思う。
「ともかく……俺たちはこれから、ラクス様の所に行かなければならないんだが……」
 あまり見苦しい恰好にさせないでくれ。ミゲルがそう訴える。
「……そうだな。そんなことになった事情を説明するとなると、隊長が恥をかくことになる」
 その結果、怒るのはバルトフェルドではなくてアイシャだ。そう言いながら、ダコスタが苦笑を浮かべた。
「アイシャ、さん?」
 誰だろうか。自分の記憶の中を探ってみるが直ぐにはでてこない。と言うことは、軍人ではないのだろうか。
「……そうだな。うちの隊長のアドバイザーだと思ってくれればいい」
 ザフトの人間ではないが絶大な影響力を持っている女性だ。ダコスタはそう教えてくれた。
「そのようだな」
 ミゲルがそれに相づちを打っている。
「その名前が出た瞬間、全員、口をつぐんだぞ」
 いや、見事だな……と感心しているのかなんなのかわからない口調で彼は言葉を重ねた。
「……隊長でも頭が上がらないからな、彼女は。君達は他の隊の人間だから、そんな無茶なことは言われないと思うが……」
「って言うか、言われる前提かよ」
 ダコスタの言葉にミゲルが即座につっこむ。
「それに関しては諦めてくれ」
 何と言っても、アイシャだから……とダコスタがため息を吐く。
「ラクスみたいなもの?」
 思わずキラはこう言ってしまう。
「……それは……」
 ダコスタが困ったような表情を作る。
「ノーコメント、にさせてくれ」
 肯定しても否定しても怖い、と彼の表情が伝えてきた。
「まぁ……お前の立場では仕方がないよ」
 苦笑と共にミゲルが同意の言葉を口にする。
「と言うことで、隊長の所に行くか」
 後のことはまた時間があるときに、とダコスタは他の者達へと声をかけた。それに皆は頷くと三々五々に散らばっていく。
「こっちだ」
 覚悟しておけよ、と彼は付け加える。
「……そんなことを言われると行きたくなくなるだろうが」
 ため息とともにミゲルがそう言い返す。
「そうだね」
 何か、このまま帰りたい。でなければ、さっさとオーブに行った方がいいのではないか。キラはキラでそう呟く。
「頼むから、それはやめてくれ」
 自分が殺されかねない。ダコスタが真顔でそう言い返してきた。
「大丈夫だ。お前は一度や二度殺されたところで死なないから」
 平然とミゲルが言い切る。
「……ミゲル」
「でなければ、お互いやってられなかっただろうが。そう言って彼はダコスタの反論を封じた。
「それはそれで問題があるセリフだよね」
 キラは苦笑を浮かべつつ言葉を口にする。
「もちろん、隊長には内緒だぞ」
 即座にミゲルが言葉を返してきた。
「なら、ラクスはいいの?」
「……キラ。わかっていて言っているだろう?」
「もちろん」
 断言をするキラに、二人が複雑な表情を作る。そんな彼等に、キラは小さな笑いを漏らした。



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