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そんなちょっとした――と言っていいのだろうか――ごたごたはあったが、ヴェサリウスもガモフも、無事に他の者達と合流することが出来た。 このまま、要人達の警護は地球上にいるバルトフェルド達に引き継ぎ、自分たちは軌道上で待機するものだ、とキラは思っていた。しかし、だ。 「……地球に、降りるのですか？」 自分たちも、とミゲルが問いかけている。 「そう。ラクス嬢の希望でね」 ふっと笑いながらクルーゼがそう言い返してきた。 「キラだけ、と言われたら断るつもりだったのだが、君も一緒と言われたから了承した」 デュランダル達も一緒だから、厄介ごとはそちらに押しつけて構わない。クルーゼはさらに言葉を重ねた。 「……隊長？」 いったい、彼は何を考えているのだろうか。そう思いながら、キラは呼びかける。 「ミゲルは顔見せしておいた方がいいだろう。色々な意味で」 意味ありげな笑みと共にクルーゼはそう続けた。 「……俺、ですか？」 何故、と言外に続けながら、今度はミゲルが問いかける。 「オーブは私たちの故郷だからね。顔見知りの者も多い」 カガリのように、と彼は続けた。 「まぁ、覚悟しておきたまえ」 苦笑と共にさらに言葉を重ねる。 「……勘弁して欲しいですよ……」 バルトフェルド隊と合流したら合流したであれこれ厄介な状況が待っていそうなのに、とミゲルはため息を吐く。 「何で？」 確かに、バルトフェルド隊にはダコスタがいるが、それとこれとは別問題だろう……とキラは首をかしげた。 「お前は大丈夫だから安心していいぞ、キラ」 あれこれ言われるのは、間違いなく自分だ。ミゲルはそう言って苦笑を浮かべる。 「もっとも、それ自体はよくあることだから、気にしてないが」 何よりも、彼等が何をしてくるのかは想像が付く。だから、構わない……と彼は続けた。 「しかし、オーブですか……」 カガリやカナード、それにサハクの双子を見ているとどのような目に遭わされるのか。想像したくない。ため息とともにミゲルは言葉をはき出す。 「心配しなくていい。カガリ達の方が特別だからね」 少なくとも実力行使をするような人間はいないよ、と言うクルーゼに彼は不審そうな表情を浮かべた。 「第一、君は正式な随行員としていくのだからね。手出ししては国際問題になりかねないだろう？」 何よりも、とクルーゼは笑みを深める。 「彼の地には君が絶対に訪れなければならない場所があるしね」 その言葉に、ミゲルは意味がわからない……と言う表情を作った。しかし、キラにはわかってしまう。 「……兄さん……」 仕事の場では個人的な繋がりを示す呼び名で呼ばないようにしよう。そう思っていたにもかかわらず、キラはついついこう口にしてしまった。 しかし、それをクルーゼが咎めることはない。 「本当なら、私も行きたいところだがね」 逆に苦笑と共にこういった。 「流石に、隊長ともなれば勝手な行動は取れないからね」 代わりに、レイが一緒に行くから大丈夫だとは思うが……と彼は続ける。 「ミゲルには君から話をしなさい」 さらにこう言われて、キラは小さく頷いて見せた。 「何々？ 何があるんだ？」 即座にミゲルが問いかけてくる。 「……とりあえず、今は内緒」 オーブに言って、自分の中である結論が出てから話すから……とキラは言葉を返す。 「よくわからないけど、お前がそう言うなら、そうなんだろうな」 わかった、と彼は頷いてくれる。 それに、キラはほっとしたように微笑んだ。 「と言うことで、決定と言うことで構わないね？」 クルーゼが確認をしてくる。それに二人とも首を縦に振って見せた。 |