イザークが連絡をしたのだろう。その場にはしっかりとニコルとディアッカも待っていた。
「で?」
 何を聞きたいんだ? とミゲルは問いかける。
「……カガリさんのことです」
 ニコルがそう言ってきた。キラのことではない、と言うことでとりあえず胸をなで下ろす。しかし、それはそれで厄介な内容だ、と言うことも否定できない。
 そして、知りたいのは彼等本人ではないのだろう。
「カガリちゃんがどうしたって?」
 また、アスランが負けたのは事実だぞ……と先に言っておく。
「また、ですか」
 懲りませんね、彼も……とあきれたようにニコルが言った。
「で、今回の理由は? って、聞くまでもないか」
 どうせ、キラがらみだろう……とディアッカも笑う。
「思い切り地雷を踏んでいたからな。ラクス様の前で」
 ミゲルの言葉に、三人はそれぞれあきれたようなため息を吐く。
「いったい、どうやってあれだけの実力をつけれたのか。それも気になりますが……」
「あいつ、何者だ? キラの従妹だ、とは聞いたが、それだけではないのだろう?」
 相変わらずストレートな物言いをするな、とイザークの言葉を聞きながら思う。しれがいやだと思わないのは、彼には表裏が少ないからだろうか。
「何故、そう思う?」
 しかし、問題はその内容だ。
 とりあえず、サハクの双子の来訪は最高機密事項になっている。もちろん、カガリの正体も含めて、だ。
 なのに、何故彼等がこんなことを言い出したのか。
 状況次第では、かなり厄介なことになるかもしれない。そう思いながら聞き返す。その声音がきついものになったのは当然のことだろう。
「先日、オーブからの迎えが来たんだろう? あいつ一人のために」
 だから、とイザークが口にする。
「普通であれば、こちらから地球に向かう船に同行してもらうのが普通でしょう?」
 さらにニコルがこういった。
「極めつけは、うちの親父の言動だけどな」
 締めくくりというように告げられたディアッカの言葉に、ミゲルは深いため息を吐く。
「まったく……要するに、管制に口の軽い者がいる、と言うことか」
 懲罰ものだぞ、とそのまま付け加える。
「何? 知ってちゃまずかったのか?」
 ミゲルの言葉から何かを察したのか。ディアッカが問いかけてくる。
「クライン議長の名で箝口令が敷かれていたはずだ」
 それなのに、一体どこからばれたのか……と顔をしかめた。
「これに関しては、アスランも知らないはずなのにな」
 可能性があるとすれば、やはりパトリックだろうか。
 どちらにしても、かなり厄介な状況だといっていい。
「隊長に報告だな」
 自分では調べられないことも、彼ならば可能なのではないか。そう思ってこう呟く。
「……何か、厄介なことになっているわけか」
 イザークが言葉を口にする。
「それで、あいつは何者なんだ?」
 その厄介ごとを引き起こした元凶だろう? と彼は続けた。
「だから、守秘義務に抵触するって言っているだろう?」
 クルーゼの許可がなければ教えられない、とミゲルは言い返す。
「知りたければ、直接、隊長に聞け」
 これで終わりだ、と言外に付け加える。
「……それが出来ないから、あなたに聞いているのですけどね」
 ため息とともにニコルがこういう。
「内緒にしておくから、教えてくれねぇ?」
 さらに、ディアッカが詰め寄ってくる。
「ラクス様に殺されたいなら、止めないぞ」
 苦笑と共にそう付け加えたときだ。いきなりドアが開く。反射的に視線を向けて、ミゲルは思わず凍り付いた。
「ミゲル?」
 何かしたのか、と言いながら他の三人も視線を向ける。次の瞬間、同じような表情を作ったのは言うまでもない。
「なかなか楽しい話をしているようだね」
 その言葉に、ミゲル以外の三人が今にも泣き出しそうな表情を作った。



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