シーゲルとサハクの双子の会談は淡々と進んでいく。しかし、その内容はそうではない。 「……キラ……」 自分が聞いていいものかどうか。そう思いながら、ミゲルはそっと隣にいる彼女へと声をかける。 「ひょっとして、五氏族家の一つを蹴落としたい、と言っているのか?」 「……そこまでは言っていないと思うけど……セイランの勢力を削ぎたい、と言うことかな?」 そうすれば、ブルーコスモスにオーブから流れる技術や資金が減るから……とキラは囁き返してきた。 「ひょっとして……」 その証拠もキラが見つけたのだろうか。 「……隊長に相談して、あちらに必要だと思うデーターは引き渡したよ」 ヘリオポリスにいたときにも、と彼女は続ける。 「そっか」 クルーゼの判断なら間違いないだろう。そう言ってミゲルは頷く。 「あれらのMSも、セイランがモルゲンレーテに発注したものだしね」 他にも、どれだけモルゲンレーテの技術があちらに流れているのか……と彼女はため息を吐いた。 「技術力がオーブの生命線なのに」 憤りを隠さずにそうも付け加える。 「確かに、それは問題だな」 プラントとしても、と頷いて見せた。 「でも、そのせいでカガリがヘリオポリスに乗り込んでくるとは思わなかったけど」 「それは、こちらのミスだな」 そう言って、カナードが割り込んでくる。 「本当は、俺が行くはずだったんだが……ちょっと、別件でごたついていてな」 その隙に、彼女に抜け駆けされてしまった。そう言って彼は苦笑を浮かべる。 「まぁ、キラがフォローしてくれたから、かなりマシだったがな」 でなければっもっとやっかいな状況になっていただろう。そうも彼は告げた。 そうして、表情を和らげるとどこかキラに似ているような気がする。 「……あんたとキラ、関係有り?」 反射的に、ミゲルはこう問いかけてしまう。 「何故、そう思う?」 せっかく柔らかくなった雰囲気が即座に剣呑なものにもどってしまった。そうなると、共通点を探すのが難しいかもしれない。 「笑っているときのあんたとキラの雰囲気が似てるような気がしたから」 何か、悪いことを言ったか? とミゲルは逆に聞き返す。 「……そう言われたのは、初めてだから……だな」 身内以外、その事実に気づいたものはいない。 もちろん、自分もそうしていたことは否定しないが……と彼は続けた。 「カナードって……」 この会話で何かを思い出したのだろうか。 「お兄ちゃん?」 キラが首をかしげながらこう呟いた。 「……そう言うことに、なるな」 どこか嬉しそうに頷いてみせる。 「もう一人、いるよね、お兄ちゃん」 確か、とキラは首をかしげた。 「あぁ」 楽しげにカナードは頷く。 「もう、会っているはずだぞ」 この言葉に、キラは目を丸くする。しかし、直ぐに思い出せないようだ。 「まぁ、ちゃんと会わせてやる」 とりあえず、今は彼等の話し合いに邪魔が入らないようにしなければいけない。そう付け加える。 「何かあると思うの?」 「……最悪の状況を想定しておくのも、俺の立場では当然のことだからな」 キラの言葉に彼はそう言い返す。その考え方は見習った方がいいのだろうか、とミゲルは心の中で呟いていた。 |