「双子?」 デュランダルの言葉に、ミゲルは思わずこう聞き返してしまう。 「まぁ……確かによく似てはいるな、とは思ったが……」 従姉妹だから、そんなこともあるのか。そう考えていたのだ、と彼はさらに言葉を重ねる。 「間違いなく、二人は双子だよ」 デュランダルが微笑みながら頷いた。 「君達の年代でなくても珍しいことだけれどね。ないわけではない」 実際に、自分もコーディネイターとナチュラルの双子にはあったことがある、と彼はさらに言葉を重ねた。 「お互いの種族との架け橋になって欲しい。そう考える人がいる、と言う証拠だよ」 もっとも、そのような考えの持ち主達を排除しようという者達もいる。彼はそう続けた。 それが何と呼ばれている者達なのか、ミゲルはもちろん知っている。 「……ブルーコスモス……」 無意識にそれが口からこぼれていたらしい。傍にいたキラの体が強ばる。 「そう。しかも、キラ達のご両親は、著名な遺伝子学の研究者だったからね」 プラント内部にも、彼等にコーディネイトをして貰いたい。そう思っていた人間が少なからずいる。 しかし、それが連中には気に入らなかったのだろう。 彼等は二人が研究所を構えていたメンデルへのバイオテロをしかけたのだ。 その結果、二人を含む優秀な研究者達の命が多数失われた。唯一の救いは、キラとカガリを含めた子供達の命が助かったことだろうか。 「もっとも、その影響か、レイは体調に影響が出てね。そのせいで、ラウと共に早々にプラントに来た、と言うわけだよ」 そして、キラとカガリはそれぞれ、親戚に引き取られていった。 「……なら、何でキラまで?」 そのころ子供だったのであれば、連中にしてみれば狙う意味がないのではないか。 「……キラとレイ、そしてもう一人にはね。新しい技術が使われているのだよ」 ひょっとしたら、その結果、コーディネイターが現在抱えている問題が解決するかもしれない。 「その中でも、女性だったのはキラだけだからね」 連中にしてみれば、子供を産む《女》を殺すことが一番効果的だと考えたのではないか。 「ひょっとして……」 「そう。キラは生まれたときかられっきとした女性だよ」 ただ、ブルーコスモスの目を逃れるために《男》と言うことにしていただけだ。あっさりとギルバートはそう口にした。 「……って言うか……いくらなんでも気付かなかったなんて……」 自分の迂闊さにあきれたくなる、と思わず呟いてしまう。 「それに関してはね。アカデミーを卒業するまで、色々と手を尽くしてきたからね」 あちらの教官達には逆のことを言っていたが、とデュランダルは言い返してきた。 「キラもそれなりに気をつけていたようだし……第一、そんなことを気にしている余裕はなかったのではないかな?」 その言葉は否定できない。 「だから、君達に関しては最後まで気付かなくて当然だと思うよ」 しかし、とデュランダルはため息を吐く。 「いくらキラの成長が遅かったとはいえ、幼年学校時代、べったりと張り付いていた彼が気付かなかった、と言うのはね」 あきれるだけではすまないのではないか。そう彼は続けた。 「……アスランは、抱きついたり何かしなかったし……寮は、ちゃんと個室にシャワーブースがあったから」 それでかなりごまかせたのではないか、とキラは口にする。 「そう言った意味では、ミゲルの方が問題だったかも」 彼女はそうも続けた。 「だってなぁ……あのころは今と違った意味で、ジャストサイズだったし」 ぼそっと、ミゲルはこう言い返す。 「仲がよくて、何よりだね」 二人の様子を見ながら、デュランダルはそう笑った。 「まぁ、君達の場合、遺伝子の適合率も高いからね。そう言った点でも、問題はないわけだ」 しかも、それはアスランとのそれよりも高い。婚姻統制上、アスランが何を言っても却下される程度には……と彼は続けた。 「それで彼が納得してくれるといいのだがね」 それに関しては、クルーゼ達のお手並み次第だが……とため息を吐く。 「まぁ、ラクスさまもカガリちゃんもいるから、大丈夫じゃね?」 最悪、実力行使、と言うこともあり得るのではないか。そんなことも考えながら、ミゲルはそっとキラの体を抱きしめていた。 |