「や……だめ……」
 言葉とともにキラは目を閉じようとする。
「ダメだ。ちゃんと見ていろ!」
 しかし、カナードがそれを許してくれない。
「カ……ナード」
「見ていないとわからないだろう?」
 自分がどれだけキラを欲しいと思っていたのかを……と彼は笑う。そして、その表情のまま、彼の手の中にあるものに舌を這わせる。
「ひぁっ!」
 強烈な感覚がキラの体を駆け抜けていく。
「……やぁっ……」
 恐い、とキラは魘されたように呟いた。
 こんな風に、むき出しの快感を直接刺激されるような経験はない。
 他人の温もりを知らないわけではないが、それにしても、これに比べれば児戯のようなものだと言っていい。二人ともあの時は知識だけの行為だったのだからそれが当然なのかもしれないが。
「恐くないだろう?」
 キラにこうしているのは、キラを好きな自分だ……とカナードは囁いてくる。
「……こんなの、知らない……」
 こんな風に激しくされたことはない。キラはうわごとのように言い返す。
「バカ」
 そんな可愛いことを言うな、とカナードが苦笑とともに口にした。
「……何?」
 しかし、キラにしてみれば何を言われているのか理解できない。本当のことを言っただけなのに、という気持ちもある。
「わからないなら、いい」
 言葉とともにいきなり体勢が変えられた。
 大きく開かされた両脚はカナードの肩にかけられ、そのまま大きく持ち上げられている。そのせいで、肩で体を支えるような状態になっていた。もっとも、腰を支えてくれるカナードの腕のおかげで、さほど苦しくはない。
 だが、その代わりに自分の体がどのような状況に置かれているかまざまざと見せつけられてしまった。
「……カナード、やだ……」  恥ずかしい、とキラは訴える。
「そうか。俺にしてみれば嬉しいがな」
 素直に反応をしてくれることは、という言葉とともに彼はキラの太ももに口づけた。そして、そのまますっと足首の方まで移動させる。
「ふぁっ!」
 それだけで腰が揺れてしまう。そうすれば、完全に形を変えてしまったものも何かをねだるように震えた。その事実が恥ずかしくてキラは顔を手で覆う。
 今度はカナードもその行為をやめさせようとはしない。
 その代わりにとんでもないところに彼の舌の熱さを感じてしまった。
「カナード!」
 何を、と慌てて視線を向ける。そうすれば、予想通りの光景がそこでは繰り広げられていた。
「男の体は女とは違うからな」
 だから、きちんと準備をしてやらなければいけないだろう、と平然とした口調でカナードが言い返してくる。
 それはキラだって知っていた。
 しかし、現実にされるとなると話は別だ、と思う。
「だからって……」
 嘗められるとは思っていなかった、とキラは泣きそうな声で訴えた。
「……汚いのに……」
「バカ」
 キラの言葉をカナードは即座に否定をする。
「好きな相手の体なら、そんなことを感じないんだって」
 それに、と彼は付け加えた。同時に彼の指がゆっくりとそこに触れる。くすぐるように指の腹で撫でられてキラは小さく体を震わせた。
「ここでしかつながれないんだ。お前を傷つけたくない以上、俺が気を付けるのは当然のことだろうが」
 負担はキラの方が大きいのだから。その言葉とともにカナードの指がそこにゆっくりと侵入してくる。
「ひぁっ!」
 初めて感じる異物感にキラは体を強ばらせてしまった。
「力を抜け!」
 カナードがこう言ってくる。しかし、そういわれてもどうしたらいいのか、キラにはわからない。だからといって、声を出すこともできずにキラは首を横に振ることでそれを伝えた。
「……しかたがないのか」
 初心者だしな……と彼は小さな苦笑とともに口にする。そして、そっとキラの中心に指を絡めてくる。
「あぁぁぁぁっ!」
 そのまま抜き立てられて快感が体を包む。それに意識を取られたのか、体から力が抜けた。
 次の瞬間、さらに奥まで指が侵入してくる。
「やぁっ!」
 既に苦しいのか気持ちいいのかわからない。
 ただ、カナードの指に翻弄されるだけだ。
 そんな時間がどれだけ続いたのだろう。
 既に、体に力を入れることもできない。ぐったりと背中をシーツに預けているだけで精一杯だ。そんなキラの内からカナードが指を抜く。その代わりに別のものがそこに押し当てられた。
「力を抜いていろ」
 言葉とともに、何かがキラの後蕾を押し開くようにして中へと侵入してくる。
「やぁぁぁぁっ!」
 引き裂かれるような感覚に、キラは思わず声を上げた。