「まぁ、それは仕方がないんじゃない?」
 キラの話を聞き終わったルナマリアがこう告げる。
「確かに。わたくしでも、キラには内緒にしておきますわ」
 さらにラクスまでもがこう言ってきた。
「……何で?」
 自分だけ仲間はずれにされるのは納得できない。キラは言外に問いかける。
「仲間はずれ、ではありませんわ」
 にこやかな表情でラクスが言葉を返してきた。
「だって、僕のことだよ?」
 なのに教えてくれないのは、仲間はずれにされているからではないのか。キラはそう言い返す。
「違うって」
 苦笑と共にルナマリアが即座にキラの言葉を否定する。
「みなさん、キラさんが心配なだけですよ」
 さらにメイリンがこういった。
「ついでに、自分があれこれ暗躍している姿なんて、好きな人には見せたくないものですよ」
 さらに彼女はこう付け加える。
「そうなの?」
 今更、その程度では何とも思わないけど……とキラは首をかしげながら口にした。
「そういうものですわ」
 ラクスがキラの疑問に言葉を返してくる。
「男性にしてみれば、見栄を張りたいところなのでしょう」
 それを見て見ぬふりをしてあげるのも、女性の役目だ。そう言って彼女は笑いを漏らした。
「浮気以外でしたら、気になさらないことです」
 それよりも、楽しいことを考えましょう……と彼女は付け加える。
「ルナマリアさん達の入学式はいつですの?」
 視線をルナマリアへ向けると、ラクスはこう問いかけた。
「うちの学校は、二週間後です」
 全寮制だから、準備に時間がかかるみたいで……と彼女は笑いながら言葉を返す。
「あら。それでも、わたくしたちの方が遅いのですね」
 どうしてかしら、とラクスは首をかしげた。
「セキュリティ関係でトラブルが起きたから、だって。僕の所にも協力要請が来ていたよ」
 だが、流石にこれから入学する学校のセキュリティには手を出したくない。そう思って断ったのだ。
「だって、そのせいで成績がいいんだ、なんて言われたくないし」
 改ざんしたなんて噂を出されたら、ギルバートやラウにも迷惑がかかりかねない。キラはそうも続ける。
「そのせいですの」
 どうして、変更などしようと思ったのだろうか、とラクスはまた首をかしげた。
「ラクスがいるからじゃないの?」
 最近、露出が増えたから……とキラは言い返す。
「馬鹿なファンが侵入してこないように、強化しているのですか?」
 あり得る、とメイリンが口にする。
「まぁ、そこまでバカはいないと思いたいけどね」
 でも、考えたら……とルナマリアが顔をしかめた。
「アスラン、という自爆系のバカの存在もあるから……ないとは言いきれないわね」
 特攻しようとして自爆したし、と彼女は続ける。
「そう言えば、そうでしたわね」
 何かを思い出したのか。ラクスも、また頷いている。
「アスラン、今度は何をしたの?」
 パーティの後にも、とキラは問いかけた。
「わたくしたちの学校に編入できないか、直談判をしに行かれたそうですわ」
 ディセンベルの工業学校に入学すると言っていたのに、とあきれたようにラクスが言い返す。
「僕たちの学校?」
 本気で? とキラは思わず目を丸くする。
「本気だったらしいですわ。ザラのおじさまがあきれていらっしゃいましたもの」
 ついでに、かなりごねられたのだろう。疲れ切った表情もしていた。そうラクスは口にする。
「……信じられない」
 だって、とメイリンがルナマリアに視線を向けた。
「って言うか……二人の進学先、知っているはずなのに、何とち狂っているの?」
 ザラ閣下があきられるのもわかるわ、と彼女はため息をつく。
「女子校なのにね」
 次の瞬間、四人の声が見事にハモった。







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