「キラ……」 そんなキラの仕草に、アスランは小さくため息をつく。 「……だって……」 キラはますます頬を染めながらアスランの腕の中で身を縮める。 「アスランが……キスも、してくれないから……」 そして、こんなセリフを口にしてくれたのだ、彼は。 「……キラ……」 自分がどれだけ理性を総動員をしてキラに無体なことをしないよう努力しているのか知らないのだろうか。それとも、知っていての行動なのか。アスランは思わずそれを問いかけたくなってしまった。 「お前に触れたら、俺の歯止めがきかなくなるって、わかっていてやっているのか?」 そんなことになったら、カガリがどう出るかわからないだろう、と冗談ともとれるような口調でアスランは付け加える。 「でも……不安なんだ……」 珍しい、と言うべきなのだろうか。キラがこんな風に素直に弱音を口にするのは。 「何が?」 「……アスランが、まだ、僕のことを欲しいって思ってくれているのかどうか、が」 三年も経っているから、もっと魅力的な相手を見つけたかもしれない、とキラは蚊が鳴くような声で告げる。 「それこそ、あり得ないな」 アスランは即座にこう言い返した。 「言っただろう? 俺にとっての一番は、キラだって」 キラ以外の相手なら、欲しいと思わない……とアスランは告げる。そのまま、彼の頬へとキスを落とした。 「それだけじゃ、不満なのか?」 言葉だけじゃ……と問いかければ、小さいがキラはきっぱりと頷いてみせる。 「キラ……お前、自分がどうしてさっきまで医務室にいたのかはわかっているよな?」 「でも、僕だってアスランが……」 欲しいんだ、とキラは続けた。自分がここにいるのが夢じゃないと確認したいのだと彼はさらに言葉を重ねる。 「俺は……知らないからな……」 キラが望むなら、とは思っていた。 だが、どこまで自制が聞くかというと自信がない。それでも、ここまで言われては拒む方がキラを傷つけるのではないか。 その思いのまま、アスランはそっとキラの唇に自分のそれを重ねた。 うっすらと開かれた唇の隙間からそっと舌を滑り込ませる。 「……んっ……」 キラののどの奥から甘いうめき声が漏れた。それは、記憶の中のそれと変わらない。こう考えた瞬間、アスランは性急にキラの体をベッドに押し倒していた。 「……アスラン……」 ぬれた唇もそのままにキラがアスランの名を呼ぶ。それがされないアスランの劣情を煽った。 「ごめん、キラ……優しくできないかもしれない」 その細い体から衣服をはぎ取りながら、アスランはこう囁く。 「……僕が、望んだことだから……」 だから気にしなくていい、とキラは微笑む。その裏に隠されているキラの気持ちに、アスランは微笑む。 「愛しているよ、キラ」 言葉とともに、あらわになった肌にキスを落とす。そのまま舌先でキラの肌をなでるように移動すれば、小さく彼の体がはねた。 すがるものを求めるかのようにキラの腕がシーツの上をさまよう。アスランはキラの手を握りしめてやる。 「だから、もう、俺のことをおいていくな」 せめて、一言残していってくれ……といいながら、キラの胸の飾りに唇を寄せる。そのまま軽く歯を立てれば、キラの唇からは甘い声が飛び出した。 「いいこだ、キラ」 その甘さが、アスランの劣情を完全に目覚めさせる。 しかし、これですぐにキラを切り裂くわけにはいかない。男の体は他人を受け入れるようにはできていないのだ。それでも、自分を刻みつけたいという欲求にはあらがえない。 せめて、少しでも痛みを感じないように、キラの体を解きほぐしてやらなければ。ただでさえ、キラと体を重ねた経験が一度しかないのだから。 受け入れる側の方が負担は大きいこともわかっている。 それでも、少しでも気持ちよくなって欲しい。その思いのまま、アスランは空いている方の手をキラの下半身へと滑らせていく。もちろん、唇と舌での刺激もやめない。 「あっ……あぁ、ん……」 欲望を解消するためだけの行為とは違う。 キラの声だけでこんなにも熱くなれるのか……と思いながら、アスランはそうっと彼の後ろへと指を滑らせる。 「アスラン!」 アスランの指の腹がそこをなでた瞬間、キラが目を丸くした。 「大丈夫だよ、キラ……ここをほぐさないと、俺が入れないって……知っているだろう?」 心配いらない、とアスランは微笑んでみせる。だから、全部任せて欲しいと。 「わかっているけど……でも、恥ずかしいんだって」 「そんなキラも、好きなんだよ、俺は」 ほら、とアスランは自分の股間をキラの足に押し当てた。 「……熱い……」 「キラが欲しくて、熱くなっているんだ……」 だから、ね? と囁くとアスランはキラのそこをゆっくりとなで始める。 「……んっ……」 キラは目を閉じた。それが許可だと判断して、アスランは次の行動に移る。 胸を刺激していた唇をゆっくりと移動させていく。そして、そのままキラの中心で立ち上がっているものを軽く刺激をすると、その奥へと舌を伸ばす。 「ひぁぁっ!」 そこに触れた瞬間、キラの体が大きくはねた。おそらく無意識だろう。腰が逃げる。 だが、キラはそれでも必死にアスランの思いに応えようとするかのように体から力を抜いていた。そんな彼の仕草に、さらに愛おしさが増していくのをアスランは感じる。 その思いのまま、慎重にアスランはキラのそこをほぐしていく。 「あっ……アスラン……」 「もう少し、我慢してくれ……キラ……」 指を二本の見込ませたところで、アスランは声をかける。 「……痛くても、いいから……」 もう、とキラはかすかに両足を広げた。その誘いに、アスランが逆らえるはずがない。 「我慢してね、キラ」 キラの内からそうっと指を引き抜きながらアスランは囁く。 「……アスラン……」 自分の名を呼ぶ彼の唇に自分のそれを重ねた。そして、同時にキラのそこに自分のそれを押し当てる。そして、そのまま一気に彼の内へと滑り込んだ。 |