中継器は全部で三つあるとわかった。 「そのうちの一つは僕たちで引き受けるよ」 ミーティアユニットが使えるから、大丈夫……とキラは微笑む。 『頼む』 イザークが即座にこういってきた。 「うん。残った一つは早く作業が終わった方が向かえばいいよね」 当然、そうなれば地球軍も動くだろう。その中にジプリールがいる可能性だってある。 その身柄を確保するのはどちらでもいいのだし……とキラは付け加えた。 『でも、ミーティアユニットって、二つなかったか?』 今思い出した、と言うようにディアッカが問いかけてくる。 「あるけど、ね。使えるMSがこっちにはないから」 下手な相手に渡すと厄介なことになるし……と付け加えた。 「アスランがもう少し何とかなっていたら、ジャスティスの後継機も開発を凍結しないですんだんだけどね」 さらにこう重ねると、モニターの向こうで二人とも苦笑を深めたのがわかった。 「……でも、レイくんなら使えるかな?」 インパルスは特別らしいから調整に手間取るかもしれないが、ザクならばデーターさえあれば大まかな調整が出来るから……とキラは首をかしげる。 「それとも、ディアッカが使う?」 それなら、くせもわかっているから直ぐに調整するけど……と笑った。 『いや、いいって』 彼はそう言って首を振る。 『あら。ディアッカ様なら構いませんわよ。届けさせますし』 不意にラクスがそう言って割り込んできた。 『レイ様でもよろしいのですが、その場合、誰かさんの反応が怖いですし』 アスランがだだをこねますわよ、と彼女はきっぱりと言い切る。 『結局は、あれか……一度、怒鳴りつけないとダメか?』 こうなるとわかってkれば、決して勧誘しなかったのに……とイザークはため息を吐く。 『まぁ、いい。とりあえず、調整の時間が惜しいからな。多少もったいないが諦めよう』 それよりも攻撃は同時にで構わないな? と彼は問いかけてきた。 「そうだね。その方があちらも混乱するだろうし……それでいいんじゃない?」 『では、そうしよう』 イザークは頷く。 『詳しいことは、ディアッカと相談してくれ』 自分はアスランと話をしてくる、と付け加えた彼の表情が怖い。そんな気がするのは錯覚だろうか。 『頑張ってくださいませ、イザーク様。できれば、わたくしも応援に行きたいところですが我慢させて頂きますわ』 そんな彼に向かって、ラクスがこういう。 「……ラクス……」 何と言っていいものか。そう考えながらモニターへと視線を戻す。ディアッカと視線がった瞬間、お互いの顔に苦笑が浮かんだのがわかった。 そのころのアスランは、と言えばしっかりと椅子に拘束されていた。 「ハイネ……」 「議長命令だ」 文句を言う彼に向かって彼は苦笑と共に言い返す。 「とりあえず、ザフトとオーブの連合に楔を入れそうなお前は隔離しておけ、だそうだ」 作戦が始まったら、仕方がないから解放してやる。しかし、指示された以外の行動を取ったら撃ち落とすからな……と彼は付け加えた。 「俺が何をすると!」 言うのか、とアスランは怒鳴る。そんな愚かな行動をするはずがないだろう、とも。 しかし、ハイネはそれに耳を貸してはくれない。 「アークエンジェルに行くだろう、勝手に? それともエターナルか?」 どちらにしても、近づいた時点で撃墜されても文句は言うなよ? と彼は断言をした。 「お前、本当にラクス様の怒りを買っているんだな」 そして、しみじみとした口調でこう付け加える。 「俺は自分の義務を果たそうとしているだけだ!」 邪魔をしているのは彼女たちの方だ、とアスランは言う。しかし、ハイネはそれに同意をしてくれない。 「それが、的はずれだから悪いのだろうが!」 それどころかいきなり乱入してきたイザークに怒鳴りつけられる。 「お前がしていることは、キラの自由を疎外していることだろう!」 彼の行動に全てだめ出しをして、自分の作った檻の中に入れようとしているのではないか。その勢いのまま彼はそう言った。 「何も知らないくせに、何故そう言いきれるんだ!」 「ラクス嬢達の話を聞いていればわかる!」 そもそも、アスランの言うとおりなら、何故、アークエンジェルのクルーだけではなくバルトフェルドまでもがアスランを危険人物扱いをすると言うのか、と彼は続けた。 「まったく……これでキラに恋人が出来たらどうなるのか……」 ぼそっとハイネがこう言ってくる。 「キラが俺以外を選ぶはずがないだろう!」 反射的にこう叫ぶ。 「いい加減にしろ!」 そう言いながら、イザークがアスランの脳裏に拳をたたき込んでくれた。 |