予想通りと言うべきか。ラクスはしっかりとバルトフェルドからお小言を言われている。たのまでごとと気分転換は否定しないが限度があるだろう、と言うことらしい。
「ルナも同じですけどね」
 苦笑と共にシンがこう言ってくる。
「でも、考えたら、アスランよりましなんだけどね」
 周囲に及ぼす被害が……とキラは苦笑と共に言い返す。
「まぁ、荷物抱えて帰ってくるぐらいは被害と言わないですね」
 シンもまた苦笑と共にこういってきた。
「まぁ、レイのお小言を聞くのは被害と言えば被害かもしれないですけど」
 自分に向けられたものではないからいいか、と彼は付け加える。それにキラはさらに苦笑を深める。
「そう言えば、最初に釘を刺されていたね、彼女」
 楽すもだけど、限度を超えたなら仕方がないか。そう言いながら、キラはキーボードを叩く。同時に、モニターには次々と新しいファイルが表示されていった。
 その大半は目標とは関係のないものである。
 だが、あるファイルを開いたところでキラの動きが止まった。
「キラさん?」
 どうかしましたか? といいながら、シンがキラのてもをとのぞき込んでくる。そして、同じように動きを止める。
「……これって……」
「だよね」
 シンの問いかけに、キラは頷き返す。そのまま視線を移動させると、傍にいたノイマンとダコスタを手招く。
「どうした、ヤマト」
「何か?」
 口々にこういいながら彼等が歩み寄ってくる。
 そんな彼等に見えるように、キラはモニターの角度を動かす。
「これは……」
 流石にその内容に彼等も絶句している。
「それで、俺たちは何をすればいいんだ?」
 だが、直ぐに動き出したのは流石だと言うべきか。
「とりあえず、こちらの中継装置の場所を特定しないと……それと、モルゲンレーテに装置そのものの解析を依頼してください。後は、ザフトにも情報を渡してください」
 これはシン達に任せてもいいのだろうが、とキラは首をかしげた。
「まぁ、少しでも早い方がいいだろうからな」
 任されよう、とダコスタが苦笑と共に頷いてみせる。
「後はジプリールの居場所だが……」
「推測ですが、これの本体がある場所にいると思います」
 今いなかったとしても、ここに姿を現すのではないか。キラはそう続ける。
「何故、そう言いきれるんですか?」
 シンは即座に問いかけてきた。
「何というか……恐らくだけど、自分の手でスイッチを押したいと思うんじゃないかなって」
 そう考えただけだ、とキラは言い返す。
「だが、その可能性は高いだろうな」
 確かに、とノイマンも頷く。
「では、そのようにしますよ、ヤマト准将」
 とりあえず、マリューへの報告とモルゲンレーテの連絡は引き受けると、彼は続けた。
「なら、ザフトへは俺だな」
 任せておけ、とダコスタは言う。
「はい」
 お願いします、とキラは頷く。
「しかし、いつ終わるんだろうな……お小言」
 シンがぼそっと呟く。それが終わっていれば話は早いだろうに、と言う彼の言葉は正しいだろう。
「本気で怒っているからね」
 放っておくしかないだろう。その間に出来ることを進めておこうか、とキラは言った。
「ですね」
 小さなため息とともにシンは頷く。
「後は、これの軌道も確認しないと……」
 とりあえず、嵐がさるまでに出来ることをしておこう。そのキラの言葉を合図に皆が行動を始めた。



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