「まぁ、妥当な線だろうな」
 バルトフェルドがこういって苦笑を浮かべる。
 それもそうだろう。イザークがこちらに派遣してきたのはシンとレイ、それにルナマリアだった。
「……アスランは?」
 しかし、この三人が来て彼だけ居残りとなったらどんなことをしてくれているのだろうか。そう考えると不安でならない。
「ご心配なく。ジュール隊長が引っ張って行かれました」
 きまじめな表情でレイが告げる。
「ハイネとエルスマン副官も一緒だから、逃げ出すのは不可能だと思うけど」
 さらにシンがこう教えてくれた。
「……まぁ、あの三人が一緒なら、大丈夫……かな?」
 キラはそう言って首をかしげる。
「それで、どうなさるおつもりですか?」
 街をぶらついても情報は入手できるとは限らないだろう。そうレイは問いかけてくる。
「二手に分かれようかと思っているんだけど」
 それにキラはこう言い返す。
「ラクスとルナマリアさんと……後一人ぐらいは街の様子を見てきて欲しいと思うんだけど……」
 誰が良いだろうか、とキラは首をかしげた。
 アークエンジェルを完全に無防備にするわけに行かないし、と呟く。
「なら、私の部下から一名、護衛につけましょう」
 アマギが口を挟んでくる。
「お願いします」
 なら、シン君とレイ君は僕に付き合って貰っても……面白くないかな?」
 そう言ってキラが首をかしげたときだ。
「何をするつもりなんだ?」
 バルトフェルドが楽しそうな表情で問いかけてくる。
「地球軍のマザーにハッキングでもしようかと思って」
 ネットカフェはあるだろうし、とキラは微笑む。
「キラさん?」
 予想外のセリフだったのだろうか。シンが驚いたように呼びかけてきた。
「なるほど。確かに手っ取り早そうだ」
 だが、バルトフェルドはそう言って頷いてみせる。
「ばれるなよ?」
「大丈夫だと思いますけど……まぁ、それもあって街のネットカフェを使うわけですし」
 カガリから、いくつか身元をごまかすためのIDも預かってきたから……と付け加えた。
「なるほど。さすがは双子、と言ったところか」
 キラが何をするかばれているわけだな、と頷く。
「とりあえず、何かあれば直ぐに連絡を寄越せ。いつでもでられるようにしておく」
 いいな、と言われてキラだけではなくラクスも首を縦に振って見せた。
「まさか、ドームの中でモビルスーるを使われる方はいないと思いますが……相手はせっぱ詰まっておいでのようですからね」
 何をするかわからない、とラクスは口にした。
「それ以外の敵であれば、皆様が守ってくださいますでしょうけど」
 にっこりと微笑みながらラクスはルナマリアへと視線を向ける。その瞬間、彼女の瞳の中に憧れの色が濃く滲んだのがわかった。
 そう言うところは流石だ、と言うべきなのだろうか。
「とりあえず、私服に着替えて貰って……それで出かけようか」
 シン達へと視線を向けながらキラはこういった。
「はい」
 どこか嬉しげにシンは頷いてみせる。
「……ルナ。決して買い物に夢中になるなよ?」
 その隣でレイが彼女に釘を刺した。
「酷いわね。そんなこと、ないわよ……多分……」
 彼女のこの言葉に、その場にいた者達は思わず笑いを漏らした。



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