とりあえず、オーブの現状が知りたい。
「……モルゲンレーテと連絡が取れるか?」
 カガリがそう問いかけている。
「多分、大丈夫だと思うけど?」
 それに、キラはあっさりとこう言い返した。
「大丈夫って……ばれるんじゃ、ないんですか?」
 最近はいつもキラにくっついているシンが不安そうに問いかけてくる。
「大丈夫。秘密回線があるんだ」
 暗号化システムも自分が作った。だから、他の人間では解析できないだろう、とキラは笑う。
「キラのプログラミング能力は、オーブでもトップクラスだ」
 カガリが自分のことのように自慢げな口調で言い切った。
「たんに、基本を無視しているだけ、とも言われたけどね」
 アスランに、とキラはため息とともに続ける。
「あいつは、少しはキラをほめればいいのに」
 心配はするくせにほめたことはないぞ、あいつ……とカガリはあきれたように顔をしかめた。
「マジ?」  信じられない、とシンが言い返す。
「アスランは、心配係だったから……そのせいじゃない、かな?」
 幼年学校時代、とキラは口にする。
「それでも、信じられません! それって、何年前のことですか」
 今のキラじゃないでしょう、とシンは問いかけてきた。
「そうだよな。あいつの頭の中にあるキラは、今のキラじゃない」
 それでも、戦争が終わって直ぐのキラは心配されても仕方がない状況だったし、その後も、自分の手伝いをして欲しいという点で同意を見ていたからそれなりに良好な関係を気付いていたが……とカガリはため息をついた。
「一度離れてみると、な」
 どうしてもマイナス点の方が目についてしまう。
 アスランの言動がさらにそれに拍車をかけてくれるし、とカガリはあきれたように言った。
「……確かに、そうですよね」
 あんなとんでもないことをしてくれる人だとは誰も考えていなかった、とシンも頷いている。
「そんなに酷いのか?」
「酷いですよ。議長の指示も無視するくらいだし」
 本当に何を考えていたのか、と彼は続けた。
「まぁ、そのあたりのことはラクスに任せておけばいいか」
 カガリはそう言う。
「……あの人も聞いていたのと違うよな」
 と言うよりも、アスランが関わると豹変するような気がするけど……とシンは言う。
「そうなって仕方がないことをしたんだよ、あいつが」
 カガリがあきれたように口にする。このままでは、ますますヒートアップするのではないだろうか。止めるには二人の意識を別の方向へとそらさなければいけないように思う。
 その瞬間、目の前の通信機が反応を示した。
「カガリ」
 ほっとしたようにキラが彼女に呼びかける。
「モルゲンレーテか?」
「ううん、ミリィから」
 どうする? とキラは視線を向けた。
「話をするに決まっているだろう! 必要なら迎えに行かないと……」
 即座に彼女はこう言い返してくる。
「彼女が来てくれれば、アスラン対策が万全になる」
 ひょっとして、逆効果だったのだろうか。ふっとそんなことを考える。
「……まぁ、迎えに行くときは僕が行くけどね」
 フリーダムが一番早いだろうから、とキラは言う。
「なら、俺も一緒に行きます!」
 即座にシンがこう言ってくる。それに、キラは笑みを返した。



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