キラ達が姿を消して直ぐにアスランの乗ったセイバーが上空に姿を見せた。そのまま、近くの海岸へと着陸をする。 即座にハッチが開かれると共に、彼は顔を出す。 「……何故、ここにいるのかな?」 あきれたようにデュランダルが問いかけの言葉を口にする。 「グラディス艦長の許可は得ています」 それに、アスランはこう言い返してきた。 「アーモリー・ワンで奪取された機体を確認しました。こちらに向かってくる可能性もありましたので」 護衛もかねて自分が来たのだ。そう言いながらもアスランの視線は周囲を彷徨っている。 それは何のためか。聞かなくてもわかってしまう。 「姫とキラ君なら、既に避難して貰ったよ」 何があるかわからないからね、とデュランダルがため息混じりに口にした。 「そちらの方が危険ではありませんか?」 即座にアスランが言い返してくる。 「我々が保護した方がよいのではないかと」 やっぱりいいやがった、とシンは心の中であきれたように呟く。 「それで、あちらにさらにこちらを攻撃する口実を与えると?」 出来るはずがないだろう、とデュランダルが言い返す。 「あちらとは?」 あの二人がこちらにいる限り、アークエンジェルは動かないはずだ。それ以外に何の問題があるのか。アスランはそう問いかけてくる。 その言葉に、やはり彼は何もわかってないのだ……とシンは思う。それとも、キラが関わっているからだろうか。 カガリの言葉を信じるなら、後者の方が正しいだろう。 「……地球軍と共にオーブ軍がいたと思ったが?」 それこそ、ザフトが彼女をさらったのではないか、と言われかねない。そうなれば、オーブ軍を本気にさせてしまうのではないか。 「あの二人は、アークエンジェルに戻って頂くのが一番いい」 「……それで、また戦場を混乱に陥れると?」 あの二人ならば、確実にそうするだろう。アスランが断言をした。 その時だ。 「……フリーダム」 レイが呟くように口にする。その視線の先を確認すれば、確かにあの蒼い翼が確認できた。 「キラ!」 反射的にアスランはセイバーの中へともどろうとする。 「アスラン・ザラ!」 その彼の動きを、デュランダルの一言が止めた。渋々といった様子で、アスランが視線を向けてくる。その表情が彼の不満を如実に見せつけていた。 「君は何をしにここに来たのかね?」 今すぐ脱走兵になるつもりならば、止めないが……と彼は続ける。 「……貴方は……」 アスランは何かを言おうとした。だが、直ぐに諦めたかのように口をつぐむ。 「と言うわけで、我々も戻ろう」 そして対策を取らなければいけないだろうし、とデュランダルは視線を向けてきた。 「そうですね」 では、車を回して来よう……とレイがいう。 「いや、一緒に行こう。その方が早い」 一刻も無駄にしない方がいいだろうからね、とデュランダルが口にする。 「確かに」 シンもこういって頷く。 「では、ご一緒に」 言葉とともにレイが歩き出した。その後をデュランダルが続く。 シンも後を追いかけようと足を踏み出した。だが、無意識のうちにフリーダムが消えた方向へと視線を移動させてしまう。 「キラさん、無事だといいんだけど」 彼が悲しむから、カガリもケガをしないと良いけど……と棒読み口調で付け加える。 次の瞬間、その気持ちを振り切るように視線を戻した。そして、小走りに二人の後を追いかける。 そんな彼等を見送ってからアスランがハッチを閉じたのがわかった。 |