ディオキア市街から少し離れた場所。それがデュランダルが連絡をしてきた場所だった。
「まぁ、ここならいざというときにも逃げやすいか」
 キラが拾ってきた画像を見ながらカガリが呟く。
「そうだね」
 もっとも、フリーダムは見える場所に置いておけないだろうが……とキラは言い返す。
「そのあたりは俺がきちんとフォローをするから、安心しろ」
 ムラサメを隠しておける場所はたくさんあるようだからな、とバルトフェルドが口を挟んでくる。
「一番の危険人物は同行するな、と付け加えておいたが……さて、どうかな」
 それに対する対応であちらの考え方がわかるかもしれないな、と彼は続けた。
「アスランがいたら、帰ってくればいいだけのことか」
 カガリもそう言って笑う。
「……アスランがその気になったら、帰してくれそうにないけど……」
 ぼそっとキラは呟く。
「だから、俺が一緒に行くんだろうが」
 大丈夫。ちゃんと邪魔してやる。フリーダムに乗り込んでしまえば、キラの方が強いだろう、……とバルトフェルドが笑った。
「そうだな。フリーダムに乗り込んでしまえば、お前の勝ちだ」
 さらにカガリもこういって笑う。
「……逃げるだけでいいなら、ね」
 きっと、その時は他のMSもいるだろう。その時はどうなるのだろうか。ふっとそんなことも考えてしまう。
「と言うわけで、先に言ってトラップでもしかけておくか」
 万が一の時用に、とカガリは笑った。
「……ほどほどにしておけよ」
 即座にバルトフェルドがこういってきたのは、三年前のことを思い出したからだろう。かなりえげつないものもあったらしい。
「アスラン撃退用でいいんだろう?」
 いや、それはヤバイのではないか。
「……せめて、ユウナ・ロマレベルでとどめておいた方が……」
 キラは呟くようにこういった。
「……そうか?」
「そうだよ。アスランならなれているだろうけど……デュランダル議長にケガをさせたら、国際問題になるんじゃないかな?」
「まぁ、そうだな」
 確かに、アスラン以外にケガをさせるのはまずいか……とカガリも頷く。
「なら、適当なところでやめておくか」
 残念だが、と続けるところを見れば、彼女はかなり鬱憤がたまっていたのかもしれない。
「そうしておけ」
 とりあえず、落としどころが見つかって安心したのだろう。バルトフェルドはこういう。
「なら、さっさと行動を開始するぞ」
 準備に時間が必要だろう、と彼は続けた。
「だな」
 さて、どんなトラップをしかけてやろうか……といいながらカガリは目を輝かせている。
「……ラクスが居残ってくれてよかったかも……」
 カガリだけではなくラクスまで手を出したらどうなるか。とてもではないが考えたくはない。キラはそう呟く。
「否定は出来ん」
 カガリならば、まだ、それなりに手加減が出来る。しかし、ラクスでは難しい。逆にとんでもない威力のものを作り出しかねない、とバルトフェルドも頷く。
「まぁ、丁度いい機会だ。気分転換をさせておけ」
 この言葉に、キラは苦笑を浮かべるしかできない。
「それで落ち着いてくれるなら、良いけど」
 少しでも冷静さを取り戻してくれればいい。そうすれば、きっと、いい方向へと進むのではないか。
「そうだな」
 アークエンジェルの中心はキラだ。だが、オーブという国になればカガリが全てを追わなければいけない。そのための手助けをするのが自分たちの役目だろう。バルトフェルドがそう言って頷く。
「ミリィに連絡を取っておくべきかもしれないですね」
 そうすれば、もっと色々な情報を入手できるかもしれない。キラはそう告げた。

 しかし、そこではキラにとって予想外の出会いが待っていた。



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