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「なんて言うか……同窓会だよな」 インパルスと名付けられた新型の整備をしながら、ヴィーノがこう言ってくる。 「ずいぶんと、新人が多いんだな」 それに、シンはこう言い返す。 「艦長も戦争を経験していないと言うし……副長は……」 「……あぁ、あの人は……な」 その言葉に、意味ありげな表情と共にヴィーノが頷く。 「まぁ、いいんじゃね。別にこちらに被害があるわけじゃないし」 メイリンはどうかはわからないが。彼はそうも付け加えた。 「だよな」 そう言ってシンが笑ったときだ。 「いざというときに足を引っ張らなきゃいいんだよ」 第三の声が割り込んでくる。 「げっ！」 「エイブス主任……」 今の会話を聞かれたのか。そう思ってシンは苦笑を浮かべる。しかし、それが本音だから仕方がない、と彼は開き直っていた。 しかし、ヴィーノはそういうわけにはいかない。 「あの……チーフ……」 慌てていいわけをしようと口を開く。 「前の戦いの時に有能な人材が大勢死んだからな……少なくとも、あの人も成績は良い」 もっとも、と彼は笑った。 「戦争の無意味さを知っているものは多い。これも、ミネルバも実際に戦闘に加わらないのがいいんだが……」 どうだろうな、と彼は続ける。 「そうですね」 確かに、あんな光景をもう二度と見たくはない。 だが、とシンは心の中で呟く。 人の欲望が尽きない限り、そんなことはあり得ないだろう。それは、セイランを見ていてもわかる。だから、と不安になるのだ。 しかし、そんな連中から人々を守るために自分は そして だから、何も心配はいらない。 そう思いたいのに、どうして不安が消えないのか。 「俺から見れば、お前らもあの人と同レベルだがな」 「うわっ！ それって……」 喜べない、とヴィーノが言う。 「整備の最中に余計な話をしているからだろうが。ヨウランを見習え！」 既に自分のノルマは終えているぞ、とエイブスはヴィーノをしかりとばす。と言うことはレイ達のザクは既に整備を終えたと言うことか。 「……また、休憩がずれるな」 それは構わない。しかし、そのせいでルナマリアに文句を言われるのは困る。 「レイは何も言わないのに、何であいつは……」 別に話を出来なくても困らないだろう。シンはそう思う。これから、シフトの関係で顔を合わせられないことだって増えるだろうに。 「そう言うところが、まだ学生気分が抜けないって、言われるのか？」 その可能性はあるな、とシンは呟く。もっとも、それだけではないのだろうが。 もっとも、自分一人がわかったところで意味はないのではないか、とも思う。 「ともかく」 ため息とともにシンはヴィーノへと視線を向けた。 「さっさと終わらせようぜ」 エイブスもそれで構わないのだろう？ と言外に問いかける。 「そうだな。こちらのことでお前まで拘束するわけにはいかない」 どんなヒヨッコであろうともパイロットはパイロットだ。他にもすべき事がある。彼のこの言葉に、シンは苦笑を浮かべるしかない。つまり、前の戦いを経験した者達から見れば、自分たちはまだまだ、と言うことなのだろう。 「了解です」 しかし、彼のその言葉に対しては反発を感じない。 あるいは、そんな彼の言動がトダカに似ているからだろうか。 彼も他の者達も元気でいてくれればいい。そして、彼等と戦うようなことにならなければいいのだが。そんなことも考えていた。 |