隠しがあります。タブキー連打か、全て選択で見つかります。


 ひょっとして、あれは酒ではなかったのか。
 キスだけで熱くなる体に驚きながらも、シンはこう考えてしまう。それとも、キスの相手がキラだからだろうか。
「……シン、君……」
 それは、キラも同じだったようだ。
 熱に浮かされたような声でキラがシンの名前を口にする。それが耳朶を打った瞬間、シンの背中をぞくりとしたものが駆け抜けていった。
「キラさん……」
 キスの角度を変えるときにシンはそっと彼の名前を囁く。
「……んっ……」
 そのまままた唇をあわせる。
 シンの腕を掴んでいるキラの指に力がこめられた。それは快感なのか、それとも拒絶なのか、シンにはわからない。
 何よりも、キラの唇からその答えを聞きたくはない、と思ってしまう。拒絶であれば絶対に立ち直れない。
 だったら、キラがもう拒絶できないようにさせてしまうしかないだろう。
 とはいっても、自分のキスだけでそれが可能なのかどうかはわからない。しかし、触れあった下肢から伝わってくる熱に、キラが感じてくれていることだけは確かなようだ。
「……もう、堅いね」
 ここに触れることは、ある意味なれた行為だ。だから、いつものように手を滑らせてキラのそれを衣服の上から包み込む。
「ふぁっ!」
 それだけで、キラの腰がはねた。
「ねぇ、キラさん……先に、一回イく?」
 そうしないと、仕事に支障が出るよね……と囁きながら、ゆっくりと指をうごめかす。そうすれば、さらにキラのそこは固さを増した。
「……ダメ……」
 まだ、仕事が……とキラは囁いてくる。
「でも、キラさん。がまん、できる?」
 こんなになっているのに、といいながらきゅっとそれを掴む指に力をこめた。
「あぁぁっ!」
 キラの唇からせっぱ詰まったような声が上がる。
「ね、キラさん。どうしたいのか、教えてよ」
 でないと、勝手にやりたいことをやるから……とシンはキラの耳に直接吹き込む。ついでとばかりに、淡い桜色に染まった耳たぶに軽く歯を立てる。
「バカ……」
 そんなことをされたら、立っていられなくなる……とキラはシンの腕にすがりついてきた。
「だって、キラさん、気持ちよさそうなんだもん」
 キラの気持ち良さそうな表情を見るのは大好きだし……と付け加えれば、彼の耳たぶがさらに赤くなる。その色合いがとてもおいしそうで、シンはついつい舌を這わせてしまった。
「だから、仕事……」
 まだ、終わっていないから……とキラは逃げ出したいというように身をよじる。
「わかってる。だから、キラさんだけ、ね」
 そうしたら、待っていられるから……とシンはだだをこねてみた。
「……バカ……」
 後少しなのに、とキラは言いながらも、シンの肩に頭を預けてくる。しかし、その口調はやさしくて甘い。
「バカでいいよ。キラさんの側にいて、我慢が限界だったんだし」
 後で怒られるときは、自分が怒られるから……とシンは囁いた。
「だから、ベッドに行っていい?」
 キラを煽るだけのつもりが、自分の方が我慢できなくなってしまったのだ。はっきり言って、そんな失態しないつもりだったのに、とシンは思う。でも、キラの反応がよすぎたのと、今までお預けを食らっていた時間が長すぎたのだからしかたがないのか。
「……バカ」
「はいはい。バカですって」
 こう言いながら、シンはキラを抱き上げる。
 もう、こんなことをしてもふらつくことはない。そうならないように努力をしたのだから、当然といえば当然だろう。でも、それでも結果が出れば嬉しい。
「……シン君……」
 まさか、シンがここまで力を付けているとは思わなかったのだろうか。キラが驚いたような表情を作った。
「キラさんの出した条件をクリアするために、努力したから」
 だから、ご褒美くださいね〜、と付け加えれば、キラはしっかりと首筋に抱きついてくれる。それが消極的な彼の許可だと、言うことをシンはわかっていた。
「愛してるよ、キラさん」
 だから、キラを全部ちょうだい、と囁くとシンは移動を開始する。放置された書類だけが、風の流れで微かな音を立てた。